上越新幹線で2022年度末の275km/h運転開始に向けて地上設備の工事や車両の置き換えを行うことになりました。
以前にも200系で275km/h運転が
実は上越新幹線で275km/h運転を行うのは今回が初めてではありません。200系F編成の一部を改造して1990年から1999年にかけて下りのみ上毛高原~浦佐間で275km/h運転が行われていました。
下りのみの275キロ運転となっているのは 大清水トンネルから塩沢トンネルまでの下り坂で勢いをつけることでムリヤリ275 km/hまで加速することでこれを実現していたようです。もちろん、途中の越後湯沢駅には停車しませんでした。なお、200系側も改造を施しています。
- ATCの240信号を275に読み替えるトランスポンダを搭載
- 210km/h以上の速度で弱め界磁制御が行われるよう、 72%弱め界磁回路の追加
- 275km/hからの7ノッチフルブレーキによる抵抗器の温度上昇を防ぐため、ブレーキカム軸進段停止装置の追加
- ブレーキ距離確保のために、ブレーキパターンを変更
- 新潟側の運転台の計器板をデジタル化、信号「240」の「245」読み替え
- 6号車と8号車のパンタグラフを撤去し通常時は4号車と10号車のパンタグラフのみで対応、これに伴い集電容量向上のためにパンタグラフの導線を交換
- 騒音低減のためにパンタグラフと特高圧引き通し線部分にカバーを装着し、運転台側窓を平滑化
- 台車車輪検査を厳格化し、車輪径は通常は910mmであり、磨耗などで850mmまで減少されると交換となるがF90番台編成は880mm以下での交換
- 発電ブレーキの容量増加と基礎ブレーキディスク圧力の向上、 ブレーキディスクとライニングの材質の変更
- 空転・滑走検知装置の出力調整の変更
ちなみに、この時速275キロでの運転は1997年3月に500系が時速300キロでの運転を開始するまで日本の営業列車としては最高速度でした。
設備改善とE7系への置き換えで実現へ
200系のときはかなり無理やり275キロ運転を行っていたようですが、今回は設備改善とE7系への置き換えという正攻法?で275キロ運転を行うようです。これにより、大宮~新潟間の所要時間を最大で7分程度短縮する計画です。このほか、別途工事が進められている上野~大宮間の速度向上においても、最大1分程度の短縮を実現し、東京~新潟間を1時間半で運転する列車が設定される模様です。
まず、設備の側については、吸音板の設置や防音壁のかさ上げを行い騒音対策をします。
それから車両面についてですが、しれっと書かれていましたが2022年度末までにE7系で統一するとのことです。 E4系が2020年度末までに置き換えられるのは既知の情報でしたが、E2系も全車置き換えとなるとかなりのペースでE7系を製造しないとならないはずです。間に合うのでしょうか…?
また、E7系への統一とのことで、朝晩のラッシュ時はどうするのでしょうか?E4系の16両編成よりは大幅に定員数が減ってしまうので、増発を行う必要がありますが、東京駅~大宮駅は現状でも手一杯です。上野~大宮間もスピードアップするということですが、東京駅のホームの折り返し列車はこれ以上増発の余地がなさそうですし、朝晩のラッシュ時の増発列車は上野駅止まりで対処するのかもしれません。
ともあれ、E2系はこれで2022年度末までに上越新幹線からは撤退することが決まりました。そうなると、「つばさ」併結の「やまびこ」(と一部の「なすの」)が最後の活躍の場ということになるのでしょう。
まとめ
上越新幹線も275キロ運転を本格的に行うとのことで、上越・羽越地方と東京の行き来がますますしやすくなるのではないでしょうか。しかし、E4系だけではなくE2系も撤退するとのことで、これら2系列の記録はこまめに行った方がよいでしょうね。