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 2017年7月に発生した九州北部豪雨により不通が続いていた日田彦山線ですが、本日復旧を断念し、不通区間についてはBRT化されることが明らかとなりました。いったいどのような経緯でこのような結論に至ったのか、BRTがどのような体系になるのか予想してみました。

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鉄道での復旧は断念…

2017年7月の福岡・大分豪雨で被災し、一部区間で不通が続くJR日田彦山線は、線路の一部を専用道にしてバスを走らせるBRT(バス高速輸送システム)で復旧する可能性が高くなった。12日に大分、福岡両県の沿線自治体とJR九州のトップが協議し、同社が提案したBRTの容認論が広がった。これまで自治体側は鉄道での再生を求めてきたが、事実上断念した。

 大分県の広瀬勝貞知事は「鉄道復旧はハードルが高い。BRTは速達性や利便性がある程度、確保されている」と述べ、容認の考えを初めて示した。各自治体は住民の意見を聞き、3月末までに結論を出す。BRTなら同社で初の導入。

 この日はJR九州の青柳俊彦社長、沿線の大分県、日田市、福岡県、添田町、東峰村のトップが日田市内に集まった。会議は昨年4月以来10カ月ぶり。

 同社は不通区間の夜明(日田市)―添田(添田町)が年間2.6億円(16年度)の赤字と説明。鉄道復旧の場合は財政支援が条件との立場を改めて強調した。

(中略)

 広瀬知事がBRTについて問うと、同社は日田駅までの直通運行で利便性を高めると説明。

▽現在の駅より短い間隔で停留所を設置

▽バリアフリー対応車両の導入

▽利用客にバスの位置を知らせる表示を置く―などの案を示した。

 原田啓介日田市長は「復旧に時間がかかると市民生活にも影響がある」と述べ、BRTに一定の理解を示した。他の首長からも異論は出ず、東峰村長だけが鉄道を譲らず孤立。それぞれBRT案を持ち帰って検討を急ぐことで一致した。

 終了後、広瀬知事は「JRのガードが堅い。経営判断もあるのではないか。鉄道を諦めたわけではないが厳しい」と話した。

 同線は豪雨で鉄橋など63カ所が被災した。

〇自治体側、現実路線に傾く

 ◆解説◆鉄道での復旧を訴えてきた沿線自治体の多くが「現実路線」に傾いた。JR九州が年間1.6億円の維持費支援が条件とのスタンスを崩さず、膠着状態が続いてきたことが背景にある。

 財政支援を求める同社のかたくなな姿勢には、上場企業となり業績アップを期待する多くの株主を抱える中、不採算路線への支出を極力抑えたい思惑も透けて見える。

(中略)

 昨年4月に同社がBRTなどの代替案を示したことで風向きが変わった。知事は「鉄道」を第一に挙げながらも、今年1月の会見では復旧方法について県としての見解を明言しなかった。関係者は「持続可能な交通を確保する観点から考えを変えたのでは」と推察する。

 被災地は鉄道を求める人が依然多い。広瀬知事は会議後、「よく説得するほかない。維持には財政負担が発生する。路線が黒字になる見込みもない」と説明した。

 被災から2年7カ月。沿線地域は高齢化が進み、これ以上、判断を先延ばしにできない。JRも自治体も、地域の理解を得られる説明が求められる。

引用: 日田彦山線、鉄道復旧断念へ BRT容認論広がる

代行バス輸送の実態を見ての判断か

 JR九州も日田彦山線の一部廃止は本意ではないと思いますが、輸送実績を見るとJR九州の判断もやむを得ないのではないかと思ってしまいました。

 不通になる前の2016年度の城野~田川後藤寺間の輸送密度は2595人/日に対し、田川後藤寺~夜明間の輸送密度はたったの299人/日。輸送実績だけ見れば特定地方交通線の第一次廃止対象になるんですよね…

 これでは災害が起きなかったとしても早晩JR九州からバス転換の申し入れをされたのではないか?と考えてしまいます。

 決定的だったのは代行バスの輸送実績だったのではないでしょうか。代行バスは添田~日田便が藤山観光のマイクロバスで1日4往復、添田~彦山便が田川構内自動車のジャンボタクシー、筑前岩屋~日田便(下り5本、上り4本)が西鉄バス久留米の中型バスと藤山観光のマイクロバスで運行されていますが、これで十分ということでしょう。

(84)九州豪雨で不通になった日田彦山線の旅【2度目の最長往復切符の旅 第145日】《久留米駅→添田駅》

 確かにこれでは鉄道で復旧させてもあまり効果は得られないでしょうし、しかもこの代行バスも日中はスカスカな模様です。

BRTはどういう形態になるのか?

 となると今後運行されるBRTはどういう形態になるのでしょうか?

 気仙沼線や大船渡線のBRTはそこそこ需要があったのか大型バスでの運行となっていますが、日田彦山線の場合はそこまでの需要がないため、中型バスで十分、場合によってはマイクロバスでの運行となる可能性も十分あります。

 運行形態ですが、田川後藤寺~漆田間もバス転換して田川後藤寺~日田と田川後藤寺~彦山の2系統になると思われます。また、運行本数は田川後藤寺~日田が9~10往復に加え朝晩は田川後藤寺~彦山の区間便を運航する形になるのでしょう。

青春18きっぷの利用はどうなる?

日田彦山線
引用:日田彦山線

 現在は鉄道の代行バスの位置づけですので当該区間も青春18きっぷが利用できていますが、BRT化された後はどうなるのか。

 JR九州が引き続き運行するとなれば恐らくJR東日本のBRT区間同様利用できる取り扱いになると思われますが、他社が受け持つことになった場合は使用不可となる可能性もあります…