485系ジョイフルトレインの中で今回「宴」が廃車回送されました。今回はその様子と車両の概要、なぜさよなら運転が行われなかったか?などを考えてみました。
宴の廃車回送
「宴」の概要・歴史
485系のジョイフルトレイン「宴」は1994年に登場したお座敷列車です。交直流車両のお座敷列車はこの車両が初で、改造は大宮総合車両センターと大船工場で行われました。全車グリーン車扱いで、2015年春のダイヤ改正前日までは小山車両センター、以降は高崎車両センター所属となっています。
客室は木目調を生かしたベージュ色系統のデザインとなっており、長時間の乗車でも快適に過ごせるように、4号車以外は掘り炬燵構造が採用されたが、目的に応じて床を全てフラットにすることが可能なように、昇降装置が内蔵されている。4号車については掘り炬燵構造とはせず、床は他車よりやや下げた上で全てフラットな状態とした。
通路と座敷は分離されていないが、通路側には窓下に上蓋式の荷物入れが設けられており、上蓋は腰掛けることが可能な構造とした。また、各車両にカラオケ装置を設置した。側面窓のカーテンは和紙感覚のデザインのロール式カーテンとした。
利用者は一度靴を脱いだら他の車両への移動も靴を脱いだままで可能とするように配慮されており、畳の下に下足入れが設置されたほか、デッキには巻取り式の敷物が設置された。
乗務員室の直後は1段高くしたフリースペースの展望室とし、3人がけのソファーを2脚向かい合わせに設置した。乗務員室との仕切りは前面展望視界を確保するため大型ガラス構造とした。3号車と5号車には休憩室を設置し、2号車と4号車にはミーティングルームを設けた。
1994年6月19日の「落成記念号」より営業運転を開始し、団体列車や臨時列車として活躍してきましたが、近年は「華」と役割が被ることもあり稼働率が減少。2019年はほとんど活躍が見られず、廃車の噂も流れていた中、一昨日長野へ自走する形で廃車回送されてしまいました…
なぜ「さよなら運転」は行われなかった?
通常、このような列車の引退時には「さよなら運転」が行われることが多いです。実際、189系やE351系の時にはさよなら運転が団体列車扱いではありますが行われています。車両定員は150人程度ですから、1人1万円で設定すれば、子供がある程度乗ることを考えても少なくとも100万円以上の収入が得られます。グッズ等の販売収入もありますから、これ以上の収入が入ってもおかしくありません。なぜ今回は行われなかったのでしょうか?
まずダイヤ面を疑ってみましたが、廃車回送が行われたのは金曜日ですし、そこまでダイヤが詰まっているとは考えにくいです。従ってこの線はないでしょう。
廃車回送が決まったのが急で、商品の発売が間に合わなかったという線も考えられなくはないですが、一番の理由は撮り鉄が沿線に集結し大混乱を招いてしまうから、でしょうか。実際、撮り鉄のトラブルやマナーの問題は多くのところで指摘されており、これが原因でさよなら運転ができなかったのだとしたら、これほど悲しいことはないでしょう…
残る485系は?
「きらきらうえつ」はすでに今年の9月末の引退が決定しています(詳しくは「きらきらうえつ、引退決定」)
残りの盛岡所属の「ジパング」と高崎所属の「華」・「リゾートやまどり」に関しては今のところ後継車両に関する噂は流れておらず、今のところは安泰といえそうですが、油断は禁物でしょう。乗車・撮影できる機会があったらできるだけ行っておくことをお勧めします。
まとめ
何だか随分と国鉄型車両のジョイフルトレインも少なくなってきましたね… いよいよ令和の時代を迎えるだけに、国鉄は遠くなりにけり、というところでしょうか。残り数日となった「平成」を悔いなく過ごしたいものですね。