今年の3月ダイヤ改正で華々しく運行を開始した富士急直通列車初の定期特急列車「富士回遊」。しかし、現状は良いことばかりでもなく、問題点も指摘されています。「富士回遊」の現状と今後どうなるか?を考察しました。
富士急行直通列車の歴史
富士急行への直通列車の歴史は古く、何と戦前から存在しました。しかし、優等列車の運転は1986年でいったん途切れ(前年に季節列車化)、臨時快速列車の運行のみとなってしまいます。
その後、使用車両の置き換えや列車名の変更は行われますが、臨時快速列車の運行は2019年3月まで行われました。優等列車の乗り入れは、2014年7月に成田エクスプレスのうち1往復が土休日に河口湖まで乗り入れを行うようになり復活しました。
「富士回遊」はこれらの臨時列車を置き換える形で新たに定期列車として新宿~河口湖間で運行されるものです。なお、定期特急列車の設定は初で、定期優等列車の設定も1985年以来となります。
3月のダイヤ改正で華々しくデビュー
富士回遊の問題点とは?
しかし、華々しく運行を開始したのはいいものの、様々な問題が起こっています。
慢性的な混雑
座席未指定券の問題
JR東日本では今年の3月から中央線系統の特急で新しい着席サービスの運用を始めました。概要は以下の通りです。
- 普通車の全席で事前に座席指定が可能
- 座席の指定を受け なくても車内の空席を利用可能(座席未指定券)
- 特急料金は通年同額
- スマートフォンや携帯電話から座席指定を受け、駅で特急券を受取らずに、そのまま乗車できる「えきねっとチケットレスサービス」を開始
- 「えきねっとトクだ値(乗車券つき)」を新価格で設定するほか、早めのお申込みで さらにおトクになる「お先にトクだ値(乗車券つき)」を新規に設定
しかし、座席未指定券では車内の空席は利用できますが、指定券を持った乗客が来たらその乗客に譲る必要があります。これが問題となっています。
解決策は?
個人的には「富士回遊」については座席未指定券の制度を止めて、純粋な全車指定席の列車として走らせれば「座席未指定券」でのトラブルはなくなると思われます。
しかし、それだけでは根本的な解決になるとは思えません。現在のE353系付属編成3両の座席定員は150人。一方、以前ホリデー快速富士山などで運用されていたE257系500番台5両編成の定員は306人ですから半分以下になってしまっています。これでは混雑が激しいのも当然といえるでしょう。
個人的にはE257系の列車を10両編成で運転して、大月駅で切り離し・連結し富士急行線内は続行運転というのはどうかと考えますが無理でしょうか。どうせE257系500番台は余っているのですから、続行運転でなくても何本か設定すれば混雑緩和につながると思うのですが。
あるいは、以前のように1往復くらい成田エクスプレスを河口湖まで乗り入れられないものか。こちらも6両で定員は290人(グリーン車28人+普通車262人)ですから、E353系の付属編成の定員と比べると倍近い輸送力を有します。何とかならないものでしょうか…
E233系の青編成や南武線用の編成で臨時快速列車を設定するのもアリではないかと思われます。ただここまでやるのかは正直疑問です…
まとめ
「富士回遊」が人気なのは良いのですが、それが仇となってしまい混雑が激しくなって問題になっているというのは何とも皮肉なものですね。このままゴールデンウイークを迎えたら更に悲惨な光景が予想されます。JR東日本や富士急行もこのまま手をこまねいているとは考えられず、何らかの手を打たざるを得ないと思われます。