E233系に押し出される形で長野・高崎地区へ活躍の場所を移した211系。
しかし、E235系が総武快速・横須賀線へ投入が完了する2023年度以降に東海道線などへのE235系投入が予定されているとのことです。
これにより、玉突き的に211系の置き換えが行われる可能性が高くなってきました。今回はそんな211系の現在と今後の置き換えの予想を行いました。
211系転属までの経緯
211系は国鉄末期の1985年に近郊型電車113・115系のフルモデルチェンジ車として東海道線で運用を開始しました。ほぼ同時期に登場した通勤型の205系と同じようにステンレス製車体やボルスタレス台車、界磁添加励磁制御・電気指令式ブレーキの採用や簡易モニタ設置が行われています。
また、211系では電動車1ユニット当たりの出力が向上したこともあり、2M3Tでの運用が可能となったのも大きな特徴です。
当初は東海道線向けに配置されましたが、後に寒地仕様車が5両編成で高崎・宇都宮線向けに登場しています。なお、こちらは先頭車が電動車となっているのが大きな特徴です。
後に余剰となった113系の2階建てグリーン車が東海道線の211系に組み込まれ、この関係で高崎線・宇都宮線で運用されていた211系にも2006年9月までにグリーン車が組み込まれています。
また、2006年7月までにE231系基本編成8本80両と付属編成6本30両の計110両が小山車両センターに追加投入され、211系のグリーン車非組み込み編成の運用が置換えられました。この結果5両編成14本が幕張車両センターへ転属し、老朽化の進んだ113系を置き換えています。
2006年10月から総武本線・成田線を中心に、内房線・外房線・東金線でも運用を開始しました。内房線・外房線では5両編成を2本つないだ10両編成での運用も設定されていました。
209系の転用により2011年10月に内房線・外房線・東金線での運用を終了、2013年春のダイヤ改正で総武本線・成田線での運用も終了し、長野地区へ転出しています。
ドア数の混在などが旅客案内上大きな問題となり、E233系による置き換えが順次進められました。東海道線の運用は2012年4月、宇都宮線での運用は2013年春のダイヤ改正、高崎線での運用は2014年春のダイヤ改正でそれぞれ終了しました。
現在の配置は?
長野車両センターには115系の置き換えを目的とし2012年より高崎・幕張車両センターから転入、後に東京総合車両センターからも転入しています。なお、転入に際しては、以下の改造工事が施工されています。
- 車体カラー帯を長野地区の115系・E127系100番台に合わせて「長野色」に変更
- 保安装置の組み合わせを変更
- 空転防止として先頭車にセラジェットを装備
- 中央線などの狭小トンネル断面に対応したシングルアーム式パンタグラフへの交換と「◆」マークの貼り付け
- 寒冷地を走行することを考慮し、客室の暖房装置の容量増加
2013年春のダイヤ改正から運行を開始し、翌年にはJR東海区間(塩尻~中津川・辰野~飯田)への乗り入れも開始しています。2015年10月までに車両の転入が完了しています。現在の車両数と編成は以下の通り。
- 0番台6両編成6本(N601 – N606編成)。セミクロスシート編成。東京総合車両センターの旧10両編成からサハ・サロ抜き取り改造し転入。
- 2000番台6両編成8本(N607 – N614編成)。ロングシート編成。東京総合車両センターの旧10両編成からサハ・サロ抜き取り改造し転入。
- 1000番台3両編成11本(N317 – N327編成)。セミクロスシート編成。高崎車両センターの旧B編成のサハを抜き取り改造し転入。
- 3000番台3両編成25本(N301 – N316・N331 – N339編成)。ロングシート編成。幕張車両センターに所属していた全編成のサハ以外と高崎車両センターの旧A編成・C編成の一部車両を改造し転入。
115系の運用をそのまま置き換えた結果、富士急行や飯田線、中央西線などでも211系が見られるようになったというのは注目点でしょうね。とはいえ、基本的には中央線・篠ノ井線・大糸線での運用がメインとなっています。
高崎車両センター所属の車両は全車が3000番台に統一され、115系と107系を置き換える形となりました。4両編成23本、3両編成14本が配置されています。なお、3両編成は単独運用されることはなく、2本つないだ6両編成として運用されています。
現在は両毛線・吾妻線・上越線(高崎~水上)・信越線(高崎~横川)で運用されています。
国府津のE231系で置き換えか?
今年度から2023年度にかけてE235系が総武快速・横須賀線へ投入を行う予定ですが、次に投入が行われるのは国府津車両センターとなるのではないでしょうか?
小山車両センターへの投入というのも考えられますが、つい最近中間付随車まで更新を受けたことを考えると、こちらに投入して更新を受けたばかりのサハ・サロを廃車にする…というのは考え辛いです。
そうなると国府津所属の編成が転属すると考えるのが自然でしょうか。置き換えが始まるころには新製から20年が経過しますし、転用するにはちょうどいいのではないでしょうか?
国府津に配置されている車両は10両編成が42本、5両編成が34本。高崎・長野の両方を置き換えるには本数が足らないように思えますが、3両編成を複数つないで運用しているのを6両編成1本で置き換えることを考えれば多少の本数減となっても運用のやりくりは何とかなるのではないかと思われます。
また、JR東海区間(塩尻~中津川・辰野~飯田)への乗り入れも今後見直される可能性があります。こちらもどうなるか注目でしょう。
ちなみに、JR東海所属の211系に関しては既に315系への置き換えが発表されています。
小山のE231系が転属してくる可能性も否定はできませんが、JR東日本の211系も終わりが見え始めたということでしょうか。記録はこまめに行っておきましょう…
追記:E233系で置き換えの可能性も浮上
どうもその後変更があったようで、横浜線にE235系が投入されることに伴い、京浜東北線のE233系と合わせての大規模転属になる可能性が出てきた模様です。いずれにしても211系が走るのはあと数年ということになりますね…