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 東海道新幹線と山陽新幹線で線路や架線の保守を行うために、実際の運行速度で走行しながら状態を調べる検測車として活躍してきた「ドクターイエロー」。しかし、JR東海が製造するN700S系に計測設備を搭載 することが判明し、去就が怪しくなってきています。今回は「ドクターイエロー」の概要やN700S系の計測設備搭載についてまとめました。

「ドクターイエロー」の概要

ドクターイエロー
引用:ドクターイエロー

 「ドクターイエロー」は当初0系をベースとした車両で運行されていました。しかし、0系をベースとした車両なので老朽化が進んでいたことや、300系以降の高速運転を行う車両の増加より、270km/hでの走行が可能な車両として1998年6月に制作が発表され、700系をベースに開発されました。

 2000年10月にまずJR東海がT4編成を落成させ、「ドクターイエロー」の置き換えが行われました。その後2005年JR西日本がT5編成を登場させ、以降は両編成の持ち回りで計測が行われています。

 両編成とも7両編成で製造され、700系と車体構造や各種部品を共通化することで保守の効率化を図られています。

 検測は日中~夜に行われ、概ね10日に1回程度行われる「のぞみ」と同じダイヤでの「のぞみ検測」と、1ヵ月に1回程度行われる各駅停車で待避線などを検測する「こだま検測」の2種類があります。なお、どちらも2日間かけて下り線・上り線の計測を行っています。ダイヤはこちらのページで紹介されています。

N700S系に計測機器設置へ

N700S系
引用:N700S系

 現在、N700系で走行中の営業列車で軌道の状態を計測する「軌道状態監視システム」を導入して乗り心地の向上を図っています。

 今回、新たな計測項目を追加させた「軌道状態監視システムと電気関係の設備の状態を走行中の営業列車で計測する「トロリ線状態監視システム」・「ATC信号・軌道回路状態監視システム」という両システムについて、実用化の目途が立ち、N700S系営業車での計測を行うこととなりました。

 「トロリ線状態監視システム」は12号車に設けられており、照射光源に赤外線LEDを採用することにより、太陽光によるノイズを受けにくく、安定した計測が可能になります。また、トロリ線状態監視装置内にカメラとトロリ線の高さを検出する機器を新設し、トロリ線の高さに応じてカメラのピントを調整して、高速走行時でも正確な計測を可能にし、これにより作業員によるトロリ線計測(夜間)を省略することが可能となり、人的コストの削減が行われます。

「ATC信号・軌道回路状態監視システム」は両先頭車に設けられており、走行中に、レールに流れるATC信号、帰線電流を計測し、取得したデータを定期的に保守部門の現業機関等へ送信することによって異常の予兆を早期に検知し、信号設備、軌道回路に対して必要な処置や保守を速やかに行うことが可能になります。

 営業車両によって監視を行うというのはJR東日本のE235系等に採用されているモニタリング装置の思想と何となく似たものを感じますね。

搭載編成とドクターイエローの去就は?

 先述の計測機器設置編成は軌道・電気両方搭載編成が3編成、軌道のみ搭載編成が3編成の6編成体制とプレスリリースで発表されており、2021年3月までは搭載機器の運用試験を進めるとしています。

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 従って、2020年度内は今まで通りドクターイエローが検測を行うと思われます。しかし、2021年4月以降もドクターイエローで検測を行うかどうかは現時点では何の発表も行われていません

 現在のドクターイエローが 1~3号車と6号車が電気測定関係、4号車が軌道測定関係の車両となっていることや新技術との互換性等を鑑みると、JR東海の保有する編成に関しては営業車両での代替の可能性が高いです

ドクターイエロー
引用:ドクターイエロー

 一方、JR西日本が保有する「ドクターイエロー」については現時点では何の情報もなく、N700S系によって代替を行うというような情報も入ってきていません。JR東海が保有する編成と比べると年数に余裕があり、またJR西日本の体質的にもこちらはまだまだこき使われると考えられます。もしも動きがあるとあすれば、現在山陽新幹線のこだまで使われている500系・700系の置き換え時ではないかと思われます。

まとめ

 JR東海が保有する「ドクターイエロー」は2021年で引退という可能性が出てきましたね… こちらに関しましては早めに撮影しておいたほうが宜しいのではないかと考えます。

 一方、JR西日本が保有する「ドクターイエロー」については当面の間活躍を続けるものと見込まれます。JR東海が「ドクターイエロー」の代替編成を製造しない見込みであることから、今後はこちらの方が注目を浴びるのかもしれません。

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