西武鉄道が2019年度の設備投資計画を発表したので、項目順に見ていきたい(一部考察も含む)と思います。
新型特急車両「Laview」の増備
今年の3月16日ダイヤ改正より池袋線・西武秩父線の特急列車で運行を開始した「Laview」ですが、今年度も引き続き5編成を増備します。これにより2019 年度中に池袋線・西武秩父線で運行中のすべての編成が10000 系ニュー レッドアローから001 系「Laview」に置き換わる予定です。
通勤車両「40000系」増備
2017 年 3 月にデビューし、有料座席指定列車「S-TRAIN」 や「拝島ライナー」としても活躍している 40000 系車両を ロングシートの通勤車として、2 編成増備します。
これにより、今後は2000系と9000系の置き換えが行われるものと思われます。今後も40000系の投入が続くと思われますので、この両系列はこまめに記録しておくことをお勧めします。
安全対策
鉄道事業では、お客さまの安全の確保を最重要課題としてとらえ、安全対策投資に重点をおきます。
ホームドアの設置本格化
現在、池袋駅のみに設置されているホームドアですが、2020 年度を目途とし、1 日当たりの乗降人員10 万人以上の駅(練馬、西武新宿、高田馬場、所沢、国分寺)について、ホームドアの整備を推進しています。また、2021年度以降についても石神井公園、中村橋、富士見台、練馬高野台、新桜台駅について整備に向けた検討を進める模様です。今後は優等列車の停車駅及び普通列車のみの停車駅でも乗降人員の多い駅を中心にホームドア整備が進められる模様です。
内方線付き点状ブロック・ホーム隙間転落検知システムの設置
内方線付き点状ブロックについては、1日あたりの乗降人員が3千人以上の駅での整備を推進しており、今年度は西武秩父駅などの計5駅で設置を予定しています。これにより、駅舎改良工事中の多磨駅を除き、1日あたりの乗降人員が 3千人以上の全ての駅で内方線付き点状ブロックの設置が完了します。
また、ホーム隙間転落検知システムは昨年7月より新井薬師前駅の1番ホームで実証実験しておりましたが、今年度中に同駅で本稼働します。また、萩山駅3番ホームにも設置する予定です。
輸送の安全性向上
駅施設やトンネル、高架橋等の構造物の耐震補強を推進します。また、線路に面した法面などを改良することで斜面の安定化を図り、土砂崩壊を防止することにより安全性向上に努めます。今年度は吾野~西吾野駅間で実施します。
西武新宿線連続立体交差事業の推進
西武新宿線では現在中井駅~野方駅間と東村山駅付近の2か所で連続立体交差化が行われているほか、 野方駅~井荻駅~西武柳沢駅間が事業準備区間となっており、田無駅~花小金井駅間でも検討が行われています。
中井~野方駅間の地下化
今年度は始終端取付部の土木工事や駅部の仮設工事を行います。この事業が完成すると7ヵ所の踏切が除却され、踏切での慢性的な交通渋滞の解消、道路と鉄道それぞれの安全性の向上と鉄道により分断されていた地域の一体化が図られます。
東村山駅の高架化
今年度は駅部の高架橋構築工事や始終端取付部の仮線路工事を行います。この事業が完成すると5ヵ所の踏切が除却され、踏切での慢性的な交通渋滞の解消、道路と鉄道それぞれの安全性の向上、また鉄道により分断されていた地域の一体化が図られます。
「西武線アプリ」の機能強化
西武線アプリは、鉄道・バス情報の情報配信をはじめ、イベントの電子整理券など、利便性・快適性を高めるアイテムとして、多くのお客さまにご利用頂いております。
今回のアップデートでは発車案内に表示される情報 (当駅始発、終電車、車両型式など)の追加や列車走行位置画面における列車種別の表示の追加、 ホーム画面・駅詳細画面への気象情報の表示や西武線アプリ内での乗換検索が行えるようになりました 。
今後も、鉄道各社のアプリとの連携など、便利で快適に当社サービスをご利用頂くための機能を、積極的に取り入れます。
新宿線特急の代替車両はどうなる?
池袋線の特急は「Laview」によって置き換えられることが決定していますが、新宿線の特急はどのような車両が入るか考えてみます。
新宿線の特急も「Laview」によって置き換えられることは確かに考えられなくもないですが、地下鉄乗り入れの対応や大きな窓、特殊なデザイン、快適性の高いシートなどを考えると相当高価な車両ではないか?と考えます。そう考えると新宿線の特急に「Laview」 が入ることは考えにくいです。
そうなると、新宿線の10000系置き換えには、新宿線の特急の特性(前面非貫通でもOK、乗車時間はせいぜい4・50分、利用者は通勤客が主体)に合わせた汎用型の特急車両が入る可能性が高いです。新宿線については10000系を機器更新して使い続けるという可能性も考えられなくはないですが、その可能性は低いと見ます。
有料座席指定列車の増発
これは現在、40000系で運行されている「S-TRAIN」 や「拝島ライナー」を増発するということなのかな、と考えます。
まず「S-TRAIN」についてですが、平日は所沢~豊洲間、土休日は西武秩父~元町・中華街間で運行しています。現在の運行本数は平日が上り2本・下り5本、土休日が上り2本・下り3本となっています。
まず考えられる動きとしては平日朝ラッシュ時の上り・夕ラッシュ時の下り列車の増発ですね。ただし、送り込みや折り返しをどうするかが課題になってきます。ロングシートで運用できれば、それが一番いいのでしょうが…
休日に関しては難しいところです。まず、西武秩父までの乗り入れに関しては近い将来廃止されるのではないか?と考えます。
西武秩父まで乗り入れる優等列車となれば特急「ちちぶ」がすでに運行していますし、そう遠くないうちに全列車「Laview」に置き換わるので、居住性に関していうと、いくらクロスシートで運行しているとはいえ、 「Laview」と比べると大きく劣ります。更に、 「Laview」 が地下鉄に乗り入れ対応していることを考えると、西武秩父まで乗り入れる列車は特急「ちちぶ」として運行をしたいでしょう。(横浜からだと所要時間が2時間近くになりますし、その点でもリクライニングシートの方が居住性が勝る)
休日はFライナーの運用を差し替えて、需要の見込める列車のみクロスシートの状態にして「S-train」として運行する方が可能性としてはありそうです。
次に「拝島ライナー」についてですが、これは40000系のデュアルシート編成を老朽化の進む2000系・9000系の代替として投入して増発するということでしょうか。30分間隔への増発や運行時間帯の延長をしても、需要はありそうです。恐らく、そう遠くないうちに朝ラッシュ時にも運行が開始されそうですね。
後考えられるとすれば、西武ドームでの大規模イベント(プロ野球など)の際の臨時列車に40000系を充当して、有料座席列車として運行することでしょうかね。そこまでやるかどうかは分かりませんが、可能性の一つとして挙げておきます。
その他
- ひばりヶ丘駅、所沢駅、多磨駅のリニューアルに向けた改良工事を行います。
- 外国人向けに、天災・事故等の異常事態が発生した場合に運行情報を駅構内放送やホームページ、西武線アプリ等でお客さまに多言語でご案内ができるシステムを整備します。
- LED照明は消費電力が低く、CO2排出量削減の効果が期待できるため、今年度は所沢・拝島駅などの計 6 駅で照明器具の取替に合わせて LED照明を導入します。
- 電車がブレーキをかけた時に発生する電力(回生電力)を、駅設備の電源として用い、 電力を有効活用することで省エネルギー化を図るための設備を新たに2か所設けます。
まとめ
いかがでしたか?個人的にはせっかく「Laview」が地下鉄乗り入れに対応しているので、4社直通の特急として運行される姿を見てみたいなんて思っております。
2000系や9000系などの古い車両がまだまだ残っていますが、これらの代替を今後どうするか?というのが西武鉄道の1つの課題となってきそうですね。