1963年の9月から運行が続いてきた近鉄の「鮮魚列車」。しかし、車両の老朽化や利用客の減少から2020年春のダイヤ改正で定期列車に専用車を併結する形とし、専用列車は廃止することとなりました。「鮮魚列車」の歴史や今後を展望していきたいと思います。
NHKのニュースで判明
三重県の伊勢志摩地方の海でとれた鮮魚を行商人が大阪などに運び、「鮮魚列車」の名前で親しまれてきた近鉄の専用列車が、来月のダイヤ改正で運行を終えることになりました。
運行を終了するのは、伊勢市の宇治山田駅と大阪上本町駅の間で、日曜と祝日を除く毎朝、運行されている鮮魚専用列車です。
近鉄によりますと、この列車は鮮魚の行商人の組合の貸し切り列車として、昭和38年から早朝、伊勢志摩地方の漁港に水揚げされた鮮魚を大阪や奈良に運ぶ役割を担い、「鮮魚列車」の名前で親しまれてきました。
最盛期には100人以上の行商人が利用していましたが、車による運搬が増え、利用者が減っていることなどから、近鉄は来月14日のダイヤ改正にあわせて、専用列車としての運行を終えることに決めました。
来月14日の早朝からは、三重県の松阪駅を出発する急行列車の最後尾に行商人向けの専用車両1両を連結して対応するということで、全国でも珍しい鮮魚専用列車は、50年以上の歴史に幕を下ろすことになります。
引用: 近鉄「鮮魚列車」 来月運行終了へ 50年以上の歴史に幕
ついに現在唯一残っていた鮮魚列車も利用客の減少で廃止となってしまいました。これも時代の流れ、仕方がないのでしょうか…
ちなみにこの鮮魚列車で運ばれた魚介類は「鶴橋鮮魚卸売市場」で販売されています。 プロの料理人も買いに来ますが、一般の方が買い物をすることも可能です。ただし、午前中でほとんどのお店が閉まってしまいますので、その点は注意が必要です。
鮮魚列車の歴史
1963年9月のダイヤ変更より「鮮魚列車」として 「伊勢志摩魚行商組合連合会」のための専用車両・列車の運行を開始したのが始まりです。
当初は一般車両や荷物電車が使用されていましたが、1983年より専用の車両が使用されるようになっています。その後、2度の車両置き換えを経て現在は2680系が使用されています。なお、この車両は初代ビスタカー10000系の廃車後の電動機・制御器などを流用しているのが大きな特徴です。
しかし、車両の老朽化や利用客の減少が相次ぎ、ダイヤの確保が難しくなったことから今春のダイヤ改正でついに廃止となります。恐らく老朽化が進んでいる2680系は廃車になるでしょう。
現在の運行ダイヤは?
現在のダイヤは以下の通りです
- 上り:宇治山田6:09発⇒大阪上本町8:57着
- 下り:大阪上本町17:15発⇒松阪19:33着
- 停車駅は 伊勢市・松阪・伊勢中川・榊原温泉口・伊賀神戸・桔梗が丘・名張・榛原・桜井・大和八木・大和高田・布施・鶴橋。
なお、行商人の乗降が無くなってしまった駅もあり、こうした駅では駅員が合図を送って車掌がドアを1秒ほどですぐに閉めてしまうそうです。