新製配置から転属もなく長野に所属をし続けてきた189系N102編成ですが、遂に除籍されたことが明らかとなりました。189系N102編成のこれまでの活躍を振り返るとともに、今後どうなるかを考察しました。
長野新幹線開業まで「あさま」で運用
1978年にN102編成の元となるN108編成が9両編成で組成され、当初は上野~長野間の特急「あさま」として運用されていました。 183系の設計を基にEF63形電気機関車との協調運転を可能となっているのが大きな特徴です。 国鉄からJR東日本に移行したのち、「あずさ」の車両とともに指定席車両を中心にグレードアップ改造を施され、塗装も現在のあさま色となりました。この状態が長野新幹線の開業まで続きます。
長野新幹線開業後は「妙高」などで運用
長野新幹線の開業後は普通車のみの6両編成に短縮され、長野~直江津間のアクセス列車「妙高号」として運行されました。普通列車の扱いだったため、青春18きっぷの旅行者からは人気が高かったようです。また、中央本線の特急「あずさ」・「かいじ」や首都圏に乗り入れる臨時列車(「ムーンライト信州」など)、朝の篠ノ井線のライナー列車「おはようライナー」にも運用されていました。また、2011年からは小諸~長野間で運行されていたしなの鉄道のライナー列車 「しなのサンライズ」 にも充当されていました。
新幹線の金沢延伸で定期運用消滅
しかし、北陸新幹線が金沢まで開業したことで状況は一変します。信越本線の長野~直江津間が並行在来線として第三セクターに分離され、役目を終えた「妙高号」は消滅。さらに時を同じくしてしなの鉄道のライナー列車 「しなのサンライズ」 の運用からも離れることとなりました。平日の「おはようライナー」の運用こそ辛うじて残りましたが、同僚のN101・103編成は廃車の憂き目を見ることに。直前に定期検査を受けていたことで運よく廃車を免れたN102編成は平日は塩尻~長野間の「おはようライナー」で、繁忙期には「ムーンライト信州」で登山客を輸送したり、稀に「あずさ」などの臨時特急の運用に入っていました。
老朽化には勝てず廃車に
しかし、製造から40年近くが経過し、老朽化は否めませんでした。2018年には余っていたE257系500番台によって豊田所属の189系が置き換えられました。
さらに、中央線特急に従事していたE351系とE257系がE353系へ置き換えられ、中央線特急にも新着席サービスが導入されます。これにより、余剰となっていたE257系が臨時特急に回るようになり、189系が臨時特急に充当されることはなくなってしまいました。さらに追い打ちをかけるように「おはようライナー」も211系によって置き換えられ、189系は運用を失ってしまいます。
本来なら春に設定されていたはずの「ムーンライト信州」も今年は設定されず、189系の動向が注目されました。
そして、しなの鉄道でのラストランイベント後はひっそりと長野車両センターの片隅に留置されていましたが、今回の除籍で183・189系が遂に廃形式となり、1つの区切りを迎えることとなりました。
最後に
遂に除籍されてしまったN102編成。しなの鉄道への譲渡も恐らくないと思われるので、今後は長野で重機の餌になってしまう可能性が高そうです。せめて1両くらいは大宮の鉄道博物館に保存してほしいと個人的には思うのですが…