相模鉄道9000系の中でリニューアル工事の対象から外れ、9000系の中では唯一未YNB編成として活躍してきた9701Fが運用から外れ廃車となりました。陸送の追っかけとみられる撮り鉄が事故を起こすトラブルも起きています。
9000系の概要
相模鉄道の9000系は老朽化の進んだ6000系の代替として8000系電車と並行して1993年から2001年にかけて10両編成7本が製造されました。相模鉄道の車両は8000系までは日立製作所が製造を担当していましたが、9000系については全車両東急車輛製造が担当したことが特筆されます。
先頭車両の前面には大きな曲面ガラスが取り付けられ、スピード感のある前面傾斜型のデザインを採用。また、両先頭車に車椅子スペースが設置されたほか、8000系と同様に10両編成中の2両にはセミクロスシートが採用されています9701F ~9703Fでは妻部に車内案内表示装置が配置されていましたが、9704F以降はドア上に車内案内表示装置が配置されています。
モーターにはGTO素子VVVFインバーターを採用していました。6M4T構成で編成全体での出力は相鉄としては最大出力を誇っていました。
リニューアル工事・YNB化を実施
しかし、年数が経つにつれ内装が新型車両に比べて見劣りするようになり、9701Fを除く6編成を対象にリニューアル工事が行われました。
- 濃い紺色一色に塗色を変更
- 保安装置の変更とモニタ装置の統合
- 車内内装はグレーを主体とし、シートのモケットを交換しバケットタイプに変更、袖仕切を新設。吊革も交換された。
- クロスシートについては1人当たりの座席幅を430mmから450mmに拡大して、スコットランド製の本革シートを採用。
- 天井の照明は時間帯や季節ごとに昼光色と電球色に変化させる調光・調色機能付きのLED照明を採用。
- 客室扉上部に設置されている車内案内表示装置を簡易LCD「パッとビジョン」に交換。
- 前面および側面の行き先表示器がフルカラーLEDに変更。
- フリーWifiの設置。
なお、この更新工事の前に走行機器については8000系のものと同等の日立製のIGBT-VVVFインバーターに更新されています。また、保安設備がATS-P型に更新され、デジタル列車無線の設置も行われています。
唯一の未更新車9701Fが廃車に
前述のリニューアル工事でなぜか9701Fだけは対象から外れ、唯一の未更新車として運用が続いていました。これは9701Fが試作車だったことから他編成との差異が大きいことが要因でしょう。
まだ当面の間続くと思われた運用ですが、突然の終焉を迎えます。11/30の運用を以て引退、そのまま廃車となりました。
なお、9701Fの廃車を以て9000系未更新車・妻面車内案内表示装置設置車・幕車が消滅することとなります。
追っかけが事故を起こすトラブルも
廃車陸送の追っかけをしていたとみられる撮り鉄が事故を起こすトラブルがありました。なお、追突したとみられるレンタカーの運転手は以前にも事故を起こしていたようです…