2008年に京浜東北線で走っていた209系を改造して試験車とした「MUE-Train」。しかし、E235系の登場などで役目を果たしたとしてここへ来て廃車の噂が流れてきました。今回は「MUE-Train」の歴史の振り返りなどを行っていきたいと思います。
MUE-Trainの概要
MUE-Train とは MUltipurpose Experimental Train (多目的試験電車)を略した愛称となっています。2008年に京浜東北線で活躍していたウラ2編成を7両編成に短縮し、長野総合車両センターで改造を受け川越車両センターに配置されました。
車両の記号番号は普通車を示す「ハ」から試験車を表す「ヤ」に変更され、首都圏の各在来線で走行試験が行われています。また、保安装置も複数搭載されていますが、埼京線の池袋~大宮がATACSに変更されたため当該区間は入線不可となっています。
主な試験内容としては以下の通りです。
- 車両の性能向上に関する各種開発(降雨時のブレーキ力向上試験、空気ばね式車体傾斜機構の試験、WiMAXの検証試験)
- 次世代車両制御システム(INTEROS)の開発→E235系で実用化
- 営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器(モニタリングシステム)の開発→E233系などで実用化
- InfoPicの開発
当初は7両編成で登場しましたが、台車の性能試験に供されていた4号車(サヤ209-8)は2011年に廃車され、以降は6両編成で各種試験が行われています。
このほか、5Gと鉄道との連携をテストする世界初の実証実験も行われています。
E235系の登場で役目を終える?
しかし、E235系や特急「あずさ」・「かいじ」用のE353系などが開発されたことで、MUE-Trainの役目は終わったという意見も出てきました。
中間車2両のみの廃車という意見と全車廃車問う意見に割れていますが、改造から12年が経ち老朽化が進んでいることも否めません。
なお、後継車はE231系になるという説が有力ですが、実験が終わったので後継車は出ないという意見もあります。
なお、MUE-Trainが廃車となった場合209系0番台の川崎重工製の中間車は全滅ということになります。