JR北海道は先日、新千歳空港へのアクセス列車「エアポート」を来春のダイヤ改正で毎時5本化&特別快速設定を発表しましたので、これまでの「エアポート」の輸送力増強の歴史や今後の予定をまとめました。
「エアポート」の毎時5本化
現在、毎時4本運行されている「エアポート」について、毎時1本を増発し、毎時5本運行します。これにより、輸送力を3割程度増強します。
また、増発列車のうち、 朝通勤時間帯と夜間帯については、新札幌駅と南千歳駅のみ停車する速達タイプの特別快速「エアポート」を設定します。これにより、札幌駅~新千歳空港駅間の所要時間を最速37分から33分に短縮します。設定本数は2往復で、上りの1本は新千歳空港8時発羽田行きに接続するように運行します。
このほか、札幌駅を6時前に出発し、新千歳空港駅に6時30分ごろ到着する早朝「エアポート」を新設します。これは恐らく現在の初電を繰り上げて快速に格上げするものと思われます。
「エアポート」の歴史
1980年に千歳空港駅(現在の南千歳駅)開業に伴うダイヤ改正で、札幌駅~千歳空港駅間に711系を使用した列車名称なしの快速列車が1日3往復設定されたのが「エアポート」の始祖であるといわれています。
その後、 札幌方面と千歳空港方面を結ぶ快速列車として「空港ライナー」が設定されると同時に、それまで運転されていた名称なしの快速列車も「空港ライナー」に組み込まれました。この列車には711系だけではなく、新造された721系も充当されました。
1992年に新千歳空港駅が開業したことで、快速「エアポート」が運行を開始し、毎時4本の運行を行うようになりました。このうち毎時1本は特急「ライラック」として旭川駅まで直通運行するものでした。また、それ以外の「エアポート」運行には優先的に721系が充当されていました。これは、711系が2ドアだったのに対し、721系が3ドアだったため、乗客の乗降がスムーズに行えたためです。なお、711系の快速「エアポート」への充当は1997年までに終了しています。
その後、2000年春のダイヤ改正で小樽駅発着の列車が毎時1本から2本に増発され、停車駅に琴似が追加されます。11月には 「エアポート」用の721系に指定席「uシート」(半室)の連結が開始されます。この時に指定席の連結区間が札幌までの運用だったのが小樽までの全区間に拡大されています。
2002年には130キロ運転を開始し、 旭川駅まで直通運行する列車が「スーパーホワイトアロー」に変更されます。これにより、4両から5両へと若干ながら輸送力の増強が図られています。また、恵庭駅が停車駅に追加され、「uシート」は好調なこともあり1両全車に拡大されました。
輸送力強化に本腰
しかし、空港利用客だけではなく、地元民も多数利用するという性質もあり、なかなか混雑の解消には至りませんでした。
JR北海道もさすがに考えたのか、2014年7月に新型車両733系を「エアポート」に投入。この車両はUシートの車両を除いて全車ロングシートとかなり詰め込む方向に割り切ったものとなりました。721系にあったデッキも自由席車両については廃止されています。
これにより「エアポート」運用から外れた721系は711系の置き換え用に札幌近郊での運用に充当されています。なお、普通列車での運用の際はUシートも自由席扱いとなっています(詳しくは「北海道フリーパス旅行記6日目」参照)。
また、混雑の原因となっていた特急型車両の「エアポート」充当も2016年春のダイヤ改正で取りやめられています。これにより、「エアポート」は721系と733系による運行となっています。
「エアポート」の運用はどうなる?
おそらく毎時5本の運行の内訳は新千歳空港~札幌が3本、新千歳空港~札幌~小樽が2本という風になるはずです。
そうなると増える分の車両をどうするかというのが問題になりそうですが、721系と733系のUシート組み込みの6両編成は現在の運用数に対してはかなり余裕があり、ほかの路線でも使用されているような状況です。なので、これらを「エアポート」運用に充当すれば特に問題は生じなさそうです。ただ、他線区でUシート組み込みの6両編成が運用されるのはかなり少なくなりそうなので、他線区で運用されている「エアポート」編成の姿は記録しておいた方がいいかもしれません。
まとめ
今回「エアポート」が毎時5本化されるということで、新千歳空港の利用者にとってはかなり便利になりそうですね。
ただ、「エアポート」の運用が拡大されるとなると現在細々と普通列車としてのみ乗り入れている731系や735系は新千歳空港では見られなくなってしまう可能性があります。こちらの記録・乗車はまめに行っておいた方がよいでしょう。