JR東日本が指定席券や乗車券の予約・販売などを行う「みどりの窓口」を7割削減することを発表しました。以前の決算説明会では列車のワンマン化や路線の非電化・単線化なども行うとしており、大幅なコスト削減に踏み出すこととなります。
JR西日本に続きみどりの窓口削減へ
まあ、これはあり程度想定していました。今後はJR西日本と同じようにオペレーターと遠隔で話せる券売機の導入を進めるとともに予約サイト「えきねっと」もより利用しやすくするとのことです。ただ、「みどりの窓口」の設置が140駅程度まで減少するとのことで、首都圏内はともかく地方は新幹線の駅と主要駅を除いて「みどりの窓口」は無くなることになるでしょうね…
今後はJR西日本化が進む?
このほか気になることとしてまず挙げられるのが「車両取替周期の精査」・「車両使用計画の効率化」でしょうか。決算説明会の資料では以下のように述べられています。
- 車両取替周期の精査
- 延命工事等により安全を確保した上で、車両の取替周期を長期化し、車両新造を抑制
- 同一線区で長く活用(転用改造コストの抑制)
- 車両使用計画の効率化
- ご利用状況に合わせた輸送力の見直し
- 保有車両数の削減を検討
- 複数線区での車両共通運用
車両の広域運用共通化とか何かやってることがもろにJR西日本と被りますね。車両の更新工事施工で他線区への転用を抑制…ということになると209系やE231系のような大規模転用はもう見られないのかもしれません。
路線の”非電化”化・単線化の候補は?
次に目を引いたのは「電車をハイブリッド車等に置き換え、架線や変電設備等を撤去」・「単線化等により、線路や信号設備等を撤去」というところでしょうか。これの候補路線はどこでしょうか?
まず単線化についてですが、本命は上越線の水上~越後中里間でしょうか。この区間は青春18きっぷの利用期間はそこそこ需要があるのですが、それ以外の利用客はというと山間部なこともあり極端に少ないです。このため平日は5往復しか走っておらず専ら貨物列車がメインとなっています。
上越新幹線が開通する前は立派な設備をフル活用して旅客をさばいていたわけですが、新幹線が開通した現在となっては立派な設備も持ち腐れとなっている状況。比較的新しい「新清水トンネル」がある現在の下り線を残して単線化されると見るべきでしょう。
同様のことは信越線にも言えるわけで、長野新幹線が開通して横川~軽井沢間が廃止されて以降は観光列車とわずかに残るか持つ列車以外は1時間に1本程度の普通列車のみ。全線が単線化されるとは考えづらいですが、列車の運行に影響が出ない範囲で単線化されると思われます。
次に非電化化されそうな区間について考えていきます。
最初に考えられそうなのは吾妻線でしょうか。この路線は典型的な盲腸線となっており、以前は107系の2両編成で運行されていましたが211系への置き換え後は4両編成で運行されています。運行の都合なのでしょうが、明らかに輸送力過剰と言えます。そうなると、八高線と同じように気動車を運行させて非電化にする可能性が高いでしょう。特急「草津」をどうするのかという問題がありますが、長野や青森と同じようにハイブリッド気動車の観光列車を高崎から走らせて解決するのではないか?と思われますね。
このほか可能性があるのは青梅線の末端区間でしょうか。青梅までは通勤路線として東京からの直通列車がありますが、青梅~奥多摩間は朝方に東京へ直通する列車を除き青梅~奥多摩間での折り返し運転が基本的になっており列車も4両編成で運行。現在は40分に1本程度と完全にローカル線となっています。ここも非電化化で2両ワンマン(朝夕のみ4両)となるでしょうか?
最後に可能性があるとすれば奥羽本線の新庄~横手でしょう。秋田新幹線が開通して実質的に役目を終えたのかこの区間を走るのは普通列車のみとなっており、それも2時間に1本程度となっています。平均通過人員が1000人を下回っていることを考えると廃止にされてもおかしくは無いのですが、万が一の事態が生じた際の迂回ルートとして存続はするのでしょう。
場合によっては路線自体の廃止も?
ただまあ、ここまでは非電化化や単線化が行われても路線自体は存続する前提でした。ただ、JR東日本も今回のコロナ禍の中で相当な減益となっており、路線によっては廃止の協議が行われるようなところも出てくるかもしれません。
一例として完全に都市間輸送の需要が消滅し北上線がありますが、この路線以外にも危ないのではないか?と思われる路線は少なくありません。
- 山田線
- 陸羽西線
- 花輪線
- 米坂線
- 気仙沼線→全線BRT化?
- 津軽線(中小国信号場~三厩)
- 大湊線
- 陸羽東線(鳴子温泉~新庄)
- 久留里線(久留里~上総亀山)
- 磐越東線(いわき~小野新町)
- 越後線(吉田~柏崎)
- 中央線の旧線(辰野~塩尻)
これらの路線はいずれも通過人員が1000人を下回っており、廃止の協議が始まってもおかしくない路線と言えるでしょう。さすがに全部廃止されるとは考えづらいですが、全部残るとも思えず今後の動向に注視すべきでしょうね。