鉄道系Youtuberとして有名な方の一人である西園寺氏ですが、路線バスで日本を縦断するという企画が進行中です。本日公開の動画で遂に北海道を脱出したことが明らかとなりましたが、一部気になる点もありましたので、そこら辺を検証していきたいと思います。ネタバレ・結果論100%ですので、その点はご了承ください。
ルールはどのようなもの?
まず西園寺氏の「路線バスの旅」のルールですが、以下の通りです。
- 路線バスを乗り継いで枕崎を目指す
- 飛行機・新幹線・特急列車・長距離フェリー・高速バスは利用禁止
- 途中スマートフォン等で時刻表を調べることも禁止
- やむを得ない場合、禁止されている乗り物以外で公共交通機関を使うことが可能
- バス以外を利用する際には緊急時用の財布を使用する
- 緊急時用の財布は3000円からスタート、毎日ルーレットで加算される。
- 緊急時用財布から500円支払うことで情報を買うことができる。
本家の「ローカル路線バスの旅」と比べるとやや緩めなルール設定ですが、本家の田中&羽田ペアのように脚力があるわけでもないし、まあここら辺は納得のルールでしょうかね。
初日の鉄道利用は避けられなかったか?
まず初日は稚内駅から音威子府行のバスの乗車し、音威子府駅へ向かいました。ところが、都市間バスが高速バスと思ったのか?枝幸行のバスには乗らず、村営バスで天塩川温泉駅へ向かいました。ところがここから名寄駅へ向かうバスは出ておらず、情報を買って恩根内駅まで1駅だけ宗谷本線の普通列車を使用したのち恩根内からバスで名寄駅へ向かっています。
では初日の1区間だけの鉄道利用は避けられなかったのか? 実は避ける方法がありました。 それは「えさし号(枝幸~旭川)」の下道区間を利用することです。 ルールで高速バスの使用は不可と言っていますが、本家では高速バスの下道区間の利用が可能となっていますから、もしそれが可能であれば枝幸ターミナルまで行くことが可能です。
しかし、その後の接続が宜しくないため、枝幸ターミナル付近で一泊せざるを得ません。 枝幸ターミナルから名寄までの乗り継ぎは以下の通りです。
- 枝幸ターミナル 7:10→雄武 8:17
- 雄武 8:42→興部 9:13
- 興部 10:50→名寄駅 12:20
これを考えると初日に1区間だけ鉄道利用したのは正しかったと言えそうですね。
日本海沿いを行く手はどうか?
日本海沿いを見てみますと、羽幌線の代替バスである「豊富留萌線」を利用することも考えられたでしょう。これを使うと仮定すると以下のような乗り継ぎになります。
- 稚内駅 10:28→豊富駅 11:17 宗谷本線の普通列車
- 豊富駅 11:55→留萌駅 15:49
- 留萌駅 17:35→深川十字街 18:49
- 深川十字街 19:11→滝川駅 20:15
何と当日中に滝川駅までたどり着けます。まあ初手鉄道というのは「路線バスの旅」としては取り辛い手ではありますが、こちらの方がよかったのではないか?と思います。
【6/1追記】高速るもい号の滝川経由便の下道利用という手がありました。これを使うと以下のようになります。
- 留萌ターミナル 16:00→滝川駅前 17:23
- 滝川駅前 18:00→浦臼駅 18:38
ただ、浦臼駅から月形駅へ向かうバスは3月の時点では17時台が最終でしたし、浦臼駅周辺に宿泊施設はなかったので恐らく引き返さざるを得なかったのではないでしょうか。よって高速るもい号の下道利用を逃しても大勢に影響はなかったと思われます。
2日目の岩見沢での停滞は避けられなかったか?
2日目は名寄駅からスタートし旭川、深川と順調な乗り継ぎを見せ滝川駅にたどり着きます。その後、岩見沢まではバスが出ているという案内所の係員の発言を受け、美唄行きのバスへ乗り込み、5時過ぎに岩見沢駅まで到達します。ところが、その後のバスが無いことが判明し、岩見沢で宿泊することになりました。
浦臼ルートと迷っていましたが、実は浦臼へ向かう方が札幌へ近づけました。乗り継ぎルートとしては以下のようになります。
- 滝川駅 15:10→浦臼駅 15:48
- 浦臼駅 17:10→月形駅 17:44
- 月形駅 18:25→当別駅 19:17
- 当別駅 19:25→太美駅 19:49
太美駅に着いた後は「太美温泉 ふとみ銘泉 万葉の湯」に宿泊することになるのでしょう…
なお、旭川駅で帯広や富良野方面に出る可能性もありましたが、そうしたらどうなったか?これに関しては後述します。
3日目は順調もまさかの事態に…
3日目は岩見沢からのスタートとなり、栗山を経由して新札幌駅に。さらにそこで柏葉台団地を経由すれば千歳駅に行けることが判明し、順調に千歳駅までたどり着きます。そこから新千歳空港へ向かい、更にそこで道南バスに乗り継ぎ苫小牧へ向かいます。そして苫小牧からフェリーで北海道を脱出しようとしますが予想以上にフェリーの運賃が高く断念。
苫小牧駅から登別温泉へ向かい、東室蘭駅まで行きましたが、室蘭から出るフェリーが休止していることが判明。絶望へ突き落されてしまいました…
その後、「ドーミーイン東室蘭」で情報を買い、長万部から函館へバスが出ていることを知り、長万部方面へ向かうことを決めています。
4日目はガバプレイが目立つ展開に…
そして運命の4日目ですが、東室蘭駅からいきなり電車で長万部駅へ出て、そこから函館方面のバスに乗り、青函フェリーで北海道を脱出しています。
実は「室蘭洞爺湖線」が道南バスにより運行されており、東室蘭駅の西口から洞爺駅まで向かうことができます。また、道南バスを乗り継ぐことで豊浦駅まで向かうことができますので、この情報を手に入れていればだいぶ緊急用の財布からの持ち出しを減らせたのではないでしょうか?
また、豊浦駅からは豊浦町営バスが出ていますので、これに乗ることになるでしょう。
- 東室蘭駅西口 6:46→洞爺駅 8:13
- 洞爺駅 8:20→豊浦駅 8:29
- 豊浦駅 11:32→礼文華駅 12:05→礼文駅(徒歩すぐ)
ただ、礼文駅から長万部方面に向かうバスはなく長万部駅まで列車に乗っていくわけですが、長万部駅から函館駅へ直通するバスは14:50発が最終でこれには間に合いません。なので、恐らく長万部で1泊することになるでしょう。
【4/7追記】伊達紋別駅から倶知安駅へ向かうバスが道南バスによって運行されていることを発見しました。これは国鉄胆振線が廃止された際の転換バスとなっており、これに乗れば岩内ターミナル・寿都ターミナルを経由してバスのみで長万部へ向かうことができます。なお、このバスは利用が少ないため一部区間の廃止が検討されていますので利用を考えている方は早めに乗車することをお勧めします。
- 東室蘭駅西口 9:22→伊達駅前(伊達紋別駅) 10:32
- 伊達駅前(伊達紋別駅) 10:50→倶知安駅前 13:14
- 倶知安駅 14:55→岩内ターミナル 15:39
- 岩内ターミナル 16:50→寿都ターミナル 17:58
翌日の寿都ターミナル 10:10発長万部駅行のバスに乗り、長万部駅から函館駅に行くことになります。なお、寿都ターミナルから長万部駅まで向かう路線バスはこの1本のみ(日曜・祝日運休)となっています。
旭川で帯広・富良野方面に向かっていたら?
旭川駅では特に他の方面を検討することなく深川へ向かっていましたが、帯広や富良野へ向かう可能性もありましたので、そちらも検証してみたいと思います。
まず旭川駅から帯広駅へは「ノースライナー」が運行されていますが、こちらは高速道路を通らないので長距離路線ではあるものの一般の路線バス…ということになります。三国峠を経由するのは1往復のみですので、これはこれでネタになったのではないでしょうか?
- 旭川駅 10:10→帯広駅バスターミナル 14:35
- 帯広駅バスターミナル 15:30→広尾 17:52
帯広駅からは襟裳岬を経由して苫小牧へ向かいますが、広尾から襟裳岬を経由して様似まで向かうバスは1日3本のみ。広尾からは以下のような乗り継ぎになります。
- 広尾 9:10→様似 11:02
- 様似 12:05→静内 14:02
- 静内 16:10→苫小牧駅前 18:25
では富良野方面に向かった場合はどうなるでしょうか?
- 旭川駅前 9:30→富良野駅 11:12
- 富良野駅 13:20→占冠駅 14:33(占冠村営バス)
- 占冠駅 15:00→日高総合支所 15:25(日高町営バス)
ところが日高ターミナルから富川市街へ向かうバスは1日3本しか出ておらず、15:00発が最終となっています。幸い、すぐ近くに「ホテル日勝」がありますのでここに宿泊して翌日のバスを待つことになるでしょう。
占冠から幾寅へ出ているバスがありますので、そちらを使う可能性もありそうです。
- 占冠駅 14:40→幾寅駅前 15:41(占冠村営バス)
- 幾寅駅 17:46→新得駅 18:46(列車代行バス)
新得駅から帯広駅へはバスが出ていますが、既に終わっていますので翌朝帯広駅に向かうことになるでしょう。帯広駅からは広尾・襟裳岬経由で向かうことは上で述べた通りです。
札幌から小樽方面へ抜ける手はなかったのか?
新札幌から西園寺氏は千歳方面へ向かっていますが、小樽を経由して長万部へ向かう方法はないのでしょうか?新札幌から札幌へはバスが頻発しています。例えば、以下のような乗り継ぎが考えられます。
- 札幌駅 12:03→手稲駅西口 13:04
- 手稲駅西口 13:24→小樽駅 14:16
小樽駅からは「ニセコバス」を乗り継いでいくことになります。
- 小樽駅 15:15→倶知安駅 16:43
- 倶知安駅 17:15→岩内ターミナル 17:59
- 岩内ターミナル 18:10→寿都ターミナル 19:18
翌日の寿都ターミナル 10:10発長万部駅行のバスに乗り、長万部駅から函館駅に行くことになるでしょう。なお、寿都ターミナルから長万部駅まで向かう路線バスはこの1本のみ(日曜・祝日運休)となっています。
正解ルートはどんなものに?
以上のことをまとめると、函館からフェリーに乗ることになるのであれば、以下のルートが正解ではないか?と考えられます。
- 1日目
- 西園寺氏と同じルートのため省略
- 2日目
- 滝川駅までは西園寺氏と同じルート
- 滝川駅 15:10→浦臼駅 15:48
- 浦臼駅 17:10→月形駅 17:44
- 月形駅 18:25→当別駅 19:17
- 当別駅 19:25→太美駅 19:49
- 3日目
- 太美駅 8:16→あいの里教育大駅 8:33
- あいの里教育大駅 9:22→札幌駅前 10:10
- 札幌駅 11:03→手稲駅西口 12:04
- 手稲駅西口 12:25→小樽駅 13:17
- 小樽駅 15:15→倶知安駅 16:43
- 倶知安駅 17:15→岩内ターミナル 17:59
- 岩内ターミナル 18:10→寿都ターミナル 19:18
- 4日目
- 寿都ターミナル 10:10→長万部駅 11:17
- 長万部駅 11:47→函館駅 14:57
苫小牧からフェリーで脱出するのであれば、以下のルートを取ることになるでしょう。距離は長いですが、迷う余地はなく1本道です。
- 1日目
- 西園寺氏と同じルートのため省略
- 2日目
- 旭川駅までは西園寺氏と同じルート
- 旭川駅 10:10→帯広駅バスターミナル 14:35(ノースライナーみくに)
- 帯広駅バスターミナル 15:30→広尾 17:52
- 3日目
- 広尾 9:10→様似 11:02
- 様似 12:05→静内 14:02
- 静内 16:10→苫小牧駅前 18:25
これ以外にもバスで乗り継げるルートはあるかもしれませんし、あくまでも1例を挙げているだけですので、その点はご了承願います。
おまけ:ましけ号に乗れれば…
余談となりますが、留萌からは増毛・雄冬経由かつ高速道路を経由しないで札幌へ向かう「ましけ号」が運行されています。もし留萌経由で行ってなおかつ「ましけ号」の運行日であれば以下のようなルートになったのではないかと思われます。何と3日で函館駅まで行けますね…
- 1日目
- 稚内駅 10:28→豊富駅 11:17 宗谷本線の普通列車
- 豊富駅 11:55→留萌駅 15:49
- 2日目
- 留萌駅 7:18→札幌駅前ターミナル 10:15 特急「ましけ号」
- 札幌駅 11:03→手稲駅西口 12:04
- 手稲駅西口 12:25→小樽駅 13:17
- 小樽駅 15:15→倶知安駅 16:43
- 倶知安駅 17:15→岩内ターミナル 17:59
- 岩内ターミナル 18:10→寿都ターミナル 19:18
- 3日目
- 寿都ターミナル 10:10→長万部駅 11:17
- 長万部駅 11:47→函館駅 14:57