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  平成元年12月に営業運転を開始したJR北海道のジョイフルトレイン「クリスタルエクスプレス」。これが今秋を以て引退することとなり、9/28と29にラストランを行うことが明らかとなりました。これまでの歴史を振り返るとともに、ラストランの計画等をまとめました。

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クリスタルエクスプレスの歴史

クリスタルエクスプレス
引用:クリスタルエクスプレス

 JR北海道が団体・臨時列車用として企画した「リゾート列車」のひとつで、石勝線方面への観光輸送を主目的として、自社の苗穂工場で設計、製作されました。当初は2階建て車両のない3両編成で落成し、 最高速度は 120 km/hとなっています 。その後、1990年12月に2階建て車両1両を組み込み、4両編成として運行するようになりました。なお、登場した翌年の 1990年度には通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されています。

 両先頭車は運転台を2階に上げて先頭部を乗客に開放する小田急電鉄のロマンスカー仕様の展望車となっています。客席部は床面を300mm上げたハイデッカーとし、側窓も屋根肩にまでかかる曲面ガラスとなっており、 展望席が各8席設置されていましたが、2010年1月に函館本線で発生した踏切事故により乗客の安全を考慮し、同年5月に座席を全て撤去した上で、乗客が立ち入らないよう仕切扉が設置されました。

 2号車は、 屋根肩部に天窓を設けるとともに妻部にも窓を設けた「ドームカー」として360度の展望を確保しています。各席に液晶モニターが設置されていましたが、2003年に撤去され、その後は各車車端部と展望室ならびにグリーン個室に大型液晶モニターが設置されています。

ドリームカー

 3号車は2階建て車両で、1990年12月に増備されました。気動車では日本初の2階建て車両となっています。 2階客席は4人用のボックスシート(普通席)を7組配置し、1階には4人用のグリーン個室を3室設置しています。シートはソファタイプです。

個室内

 2階部分と平屋部分車端部の2か所にラウンジを設け、平屋部に設けられたラウンジには、妻面にかかる曲面ガラスを設けて斜め方向の展望を確保しています。

ラウンジ

  その後、グリーン個室は普通個室扱いとなり、現在は4人用個室の販売は行っておらず、記念撮影スペース・多目的室として利用されています。

クリスタルエクスプレスの運用は?

  運行開始時より季節ごとの臨時列車に使用されています。臨時特急「トマムサホロスキーエクスプレス」(札幌 – 新得間)の運用を主とし、2000年代以降は「フラノラベンダーエクスプレス」(札幌 – 富良野間)、その他多客期の臨時特急「とかち」(札幌 – 帯広間)などにも用いられています。

 2013~2014年には特急「北斗」の代走で運用され、大きな注目を集めました。

 また、昨年の冬には団体列車として釧網本線で運行されています。

老朽化には勝てず引退へ

 現在の運用は夏季に運用される「フラノラベンダーエクスプレス1・2号」のみとなっており、宗谷線や石北線の特急の代走も専らもう一つのジョイフルトレイン「ノースレインボーエクスプレス」が充当されるようになっています。これには以下の理由が考えられます。

  • 「ノースレインボーエクスプレス」 は5両編成で運行されており、それと比べると座席定員数で劣る
  • 「クリスタルエクスプレス」の3号車2階客席は4人用のボックスシートとなっており、リクライニングシートと比べて劣る
  • 3号車の1階には普通個室が設けられているが、この個室の扱いをどうするかが問題に

 これらの問題点に加え、北海道の過酷な環境により老朽化が進んだこともあり、JR北海道は 「クリスタルエクスプレス」 を9月末に行われるラストラン運行を以て引退させることを決定しました。

 なお、ラストラン運行に先立ち、 クラブツーリズムは、「北海道の数少ないジョイフルトレインに乗車!クリスタルエクスプレス貸切日帰りの旅 日帰り」を開催します。旅行日は、8/30、9/19の各日日帰りで、「クリスタルエクスプレス」の運転区間は、札幌(7:40発)~函館(12:10頃着)、函館(12:40発)~札幌(17:00頃着)の往復となっています。乗車には、旅行商品の申込が必要です。札幌駅発、函館駅発の各片道乗車プラン、札幌駅発着の往復乗車プランが設定され、旅行代金は片道プランが大人各12000円・子ども各9000円、往復プランが大人24000円・子ども18000円。参加特典として、クリスタルエクスプレス乗車シールなどをプレゼントします。申込は、インターネット電話にて受け付けています。

ラストランは札幌~富良野間で実施

 ラストランは9/28,29に札幌~富良野間で実施されます。全車指定席で運行されますが、 3号車の4人用個室の販売は行われません。記念撮影スペース、多目的室としての利用となります。時刻は以下の通りです。(フラノラベンダーエクスプレス3・4号と同時刻)

  • 札幌 9:07→富良野 11:07
  • 富良野 16:51→札幌 18:46
  • 停車駅:岩見沢、滝川、芦別

  札幌~富良野間、全区間ご乗車いただいたお客様に車内で記念乗車証明書をプレゼントします。上下異なるデザインで、2枚揃えると裏面のクリスタルエクスプレスのイラストが4両編成になります。ぜひ、往復でご利用下さい。

 富良野駅では、ラストラン列車の到着後と出発前にホームで商品の販売を行います。富良野の食材をつかって、富良野でつくった「メイドインフラノ」認定商品をはじめ、地元特産品を販売します。 また、富良野市のご当地キャラクター「へそ丸くん」が富良野駅出発時にお見送りを行います。記念撮影もお楽しみいただけます。

 最終運行日には、 「輝気太鼓」による太鼓演奏を富良野駅2番ホームで16:30頃より行います。 地域で様々な活動を展開しているJAふらの東山支所女性部のグループ9人が中心となって「輝気・KAGAYAKI・太鼓」の演奏を通じて日頃から地域を盛り上げており、「クリスタルエクスプレス」ラストランにあわせ、富良野駅ホームにて演奏を実施します。

まとめ

 キハ261系の観光列車投入がリリースで発表されている中、ついに「クリスタルエクスプレス」の引退が発表されましたね。自身は2回ほど乗車していますので、乗車記に関しては「北海道フリーパス旅行記6日目」、「北海道フリーパス旅行記7日目」をご覧ください。今回「クリスタルエクスプレス」が引退するということで、今後は「ノースレインボーエクスプレス」の去就も気になるところですので、これらの列車の撮影・乗車はお早めに。