七尾線では電化開業時から長らく413・415系が活躍しており、現在北陸地区では数少ない国鉄型の牙城となっていました。しかし、老朽化による影響が大きかったのか、来年秋より新型車両が投入されることとなりました。今回は七尾線を走る413・415系の紹介と521系の概要などをまとめました。
七尾線の電化開業に伴い誕生した415系
七尾線の415系は415系800番台と区分されており、七尾線の電化開業に伴い福知山線で活躍していた113系800番台を交直流機器を搭載して415系と改称したものとなります。0番台が種車となったものも存在し、最大で3両編成11本が在籍していました 。その後2本が廃車となり、現在は3両編成9本という布陣となっています。
過去走っていた常磐線・水戸線や九州地区で現在も活躍している415系は4両編成・7両編成で組成されていましたので、「クモハ」はこの番台のみの存在となっています。先頭付随車「クハ415」についても常磐線で一時期のみ走っていた2階建て先頭車クハ415-1901を除けば800番台のみの存在です。なお、 C02編成に連結されているモハ414-802はモハ112-12として1964年7月に製造されてから415系への改造を経て、55年もの月日活躍しています。JRの電車では最も古い車両となります。 415系の編成に関しては各編成で相違点がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
編成番号 | <> | 参考 | ||
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クハ415 | モハ414 | クモハ415 | ||
C02 | 802 | 802 | 802 | モハ414-802は JRの電車では最も古い車両。 |
C03 | 803 | 803 | 803 | |
C05 | 805 | 805 | 805 | |
C06 | 806 | 806 | 806 | |
C07 | 807 | 807 | 807 | デッドセクション通過時、非常灯ではなく蛍光灯が点灯 |
C08 | 808 | 808 | 808 | デッドセクション通過時、非常灯ではなく蛍光灯が点灯 |
C09 | 809 | 809 | 809 | |
C10 | 810 | 810 | 810 | |
C11 | 811 | 811 | 811 |
かなり個性的な413系
国鉄末期に等間隔・高頻度運転と全電車化によるスピードアップなどの輸送改善を行うために投入され、北陸地方には413系が導入されました。この車両は古い急行型電車と異なり、両開き2ドアでデッキなし・セミクロスシートの構造を採用したことで、ラッシュ時における円滑な乗降が行われるようになっています。
この車両は3両編成で組成されていますが、面白いのは写真のように先頭付随車にクハ455を組み込んだ編成が2本存在することでしょう。このクハ455が急行型電車の最後の生き残りとなっています。
総勢3両編成11本の陣容となっていましたが、北陸新幹線が開業したことで北陸本線が第3セクターに経営分離されることになり、このうち5編成( B01〜B03,B07,B10 )があいの風とやま鉄道に譲渡されています。現在の陣容は正統派?413系4本(B05,B06,B08,B09)とクハ455組み込み2本(B04,B11 )の計6本となっています。特に注目なのはB11編成で、ほかの編成がクモハ471・モハ470の改造車を組み込んでいるのに対し、この編成のみ1ユニットしか存在しないクモハ473・モハ472の改造車を組み込んでいます。これにより、この編成のモハ・クモハのみ100番台として他と区別されています。
521系により置き換えへ
今回の投入では521系2両×15本を投入する予定となっており、413系・415系の全編成が置き換えられる見込みです。しかし、過去の金沢地区の置き換えでは、急行型車両と比べて3ドア化等により収容力が向上したためか減車が行われています。今回も編成数はそのまま、両数が3両から2両に純減となっています。 恐らく予備車の共通化により、混雑する列車には増結などの方策をとるものと思われます。しかし、今回の置き換えではもともとの車両に十分な収容力があったため、純粋に収容力が減少してしまいます。転換クロスシートが装備されるため、快適性は向上しそうですが果たして利用者からの評判はどうでしょうか?
車載型IC改札機を使用したICOCAエリア拡大
なお、七尾線への521系投入に伴って 2021年春をめどに車載型IC改札機を使用したICOCAエリア拡大 が行われます。 これにより石川県下全域ならびに七尾線全線がICOCAエリアとなり、さまざまなご利用シーンでますます便利になります。なお、 特急停車駅などご利用の多い駅には、地上型IC専用改札機を設置する予定です。地上型IC専用改札機設置駅に停車中は、車載の改札機の機能を停止するため、駅の改札機にタッチを行う必要があります。 また、 津幡駅はIRいしかわ鉄道の区間で、すでに地上型IC専用改札機を導入済みです。
車載型IC改札によるICOCAエリア拡大はあるか?
和歌山線への227系導入時も車内に車載型IC改札機が設置され、来年春をめどに和歌山線でICOCAの使用が開始されます。
今後の予想としては、加古川線の103系置き換え時に置き換え車両に車載型IC改札設置と125系への改造施工で加古川線の西脇市~谷川間、舞鶴線でもICOCAが将来的には使用できるようになるのでは?と考えられます。
まとめ
ついに七尾線にも新型車両が導入されるということで、沿線の住民からは喜びの声が多そうですね。逆に言えば413・415系は2021年の春までには引退するという事であり、この2形式、特に急行型電車の生き残りであるクハ455などの記録・乗車は早めに行なった方が良いでしょう。