2017年7月に発生した九州北部豪雨により不通が続いていた日田彦山線ですが、鉄道での復旧を断念し、不通区間についてはBRTに転換することで決着がつきました。今後どうなっていくのでしょうか?
BRT転換で決着
JR九州は7月17日、「第6回日田彦山線復旧会議」の内容を明らかにした。
7月16日に開かれた今回の会議では、不通となっている添田~夜明間のバス高速輸送システム(BRT)による復旧が正式に決定。基本的に復旧に要する費用はJR九州が負担するが、福井橋梁と平迫橋梁の復旧については福岡県の事業として行ない、そのための協定を同県とJR九州が結ぶとしている。
BRTについては、前回の会議で添田~彦山間7.7kmと筑前岩屋~日田間13.6kmを一般道経由、釈迦岳トンネルを抜ける彦山~筑前岩屋間7.9kmを専用道とする案が出されていたが、今回の会議では福岡県が提案していた、東峰村内の筑前岩屋駅から6.2km先の宝珠山駅まで専用道を延伸する案が認められた。
会議では、BRT化により添田、東峰、日田の3市町村合わせて378世帯で鉄道時代より利便性が向上するとしており、4つの駅がある添田町内では11の駅・停留所、3つの駅がある東峰村では8つの駅・停留所、3つの駅がある日田市では12の駅・停留所設置が検討されるという。
今回の決定を受けて「JR九州は復旧工事に着手し、早期の復旧を目指すとともに、停留所の設置等、工事完了前に提供可能なサービスについては、随時実施するものとする」とされ、今後は、BRT運行開始へ向けた停留場の設置位置や運行ダイヤ、鉄道用地の取扱い、運行や運営に関する具体的な諸課題について、関係者間で調整を進めていくと結んでいる。
引用:日田彦山線添田-夜明間のBRT化が正式に決定…乗車機会は3倍、約400世帯で利便性が向上
唯一BRTでの復旧に反対していた東峰村が今回の無いようを受けてBRTでの復旧に合意、これにより日田彦山線の不通区間はBRTによる復旧で決着しました。
現在のバス代行輸送は添田駅~日田駅間を直通するのは4往復のみで後は添田駅~彦山駅間と筑前岩屋駅~日田駅間を結ぶ区間便になっているのが特徴です。筑前岩屋~日田便は一部が西鉄バスの中型車で運行されていますが、後はマイクロバスのサイズで運行されており、需要はその程度ということなのでしょう。
不通になる前の2016年度の城野~田川後藤寺間の輸送密度は2595人/日に対し、田川後藤寺~夜明間の輸送密度はたったの299人/日。これではJR九州が鉄道ではなくBRTでの復旧をというのも仕方ないでしょう。
ネット上の反応は?
東峰村にあれだけ専用道延伸を得たのだから、これからは東峰村の宣伝次第になる。
村おこしに成功することを祈りたいが、利用客の減少、低迷が続けば東峰村は逆に工事の無駄遣いと見せしめにされ、深刻な被害を出した肥薩線の廃線口実にも利用されかねない。
東峰村は本気でBRTを積極的に宣伝してほしい。
引用:日田彦山線添田-夜明間のBRT化が正式に決定…乗車機会は3倍、約400世帯で利便性が向上
鉄路での復旧をするには、上下分離を基本に河川の防災対策など莫大な費用と期間が必要になり、貨物や特急が走らないこの路線では困難でしたからね。鉄道好きとしては悲しいですが、沿線自治体も負担なしで、JR九州がこれまで通り公共交通機関を維持してくれるのですから妥当な判断だったと思います。これからは定時性や停留所を増やすなどBRTメリットを生かして、地域の足として活躍して欲しいですね。
引用:日田彦山線のBRT化決定 JR九州、23年にも運行へ
この路線は、自分が福岡市に住んでいた頃、英彦山に登るのにたまに使っていたけど、その当時から過疎路線だった。
そもそも、人口5万程度の大分県 日田市と、福岡県の筑豊地方との間では、人の行き来がもともと少ないしね。
引用:日田彦山線のBRT化決定 JR九州、23年にも運行へ
専用バス路線(BRT)化しても、乗客数は減る一方だろうし、先行き不安ではあるね。
車窓を考慮しなくて良い或る列車や西鉄のTHE RAIL KITCHEN CHIKUGOみたいな観光列車を添田まで走らせて、バスで英彦山神宮へ向かうようなプロモーション掛けてくるかもね。焼け石に水かもしれないけど。
地元もJRに任せっきりにせず、和歌山の猫が居る駅や千葉の穴の空いた小川みたいに何気ない風景が人を集める場合あるから、アーチ橋の宝珠山橋梁辺りに季節の花を大量に植えてインスタ映えスポットにするとか、田舎の風景を活かして集客頑張って欲しい。
引用:日田彦山線のBRT化決定 JR九州、23年にも運行へ
運行車両は?ダイヤはどうなる?
現在田川後藤寺~添田間は1・2時間に1本の間隔で列車が運行されているため、これと接続する形でBRTは運行する形になるものと思われます。
車両については、上の車両のようなマイクロバスになるものと思われます。運行本数については2時間に1本程度は確保するのではないでしょうか?
運行ルートについても現在検討中ですが、日田側については日中時間帯は済生会日田病院を発着するようにするのではないか?という声があります。実際、利用者はお年寄りが多いでしょうし、病院経由にした方が利便性は向上するかもしれませんね。
肥薩線もBRTに?
こうなってくると怪しくなってくるのは肥薩線の復旧です。肥薩線も観光需要こそありますが、普段の利用は皆無に等しく、全線にわたって通過人員が1000人/日を切っている状況です。
区間は長いですが、県道との交差点付近に設置されている人吉ICバス停から高速バスが多数発着しており、主要な移動は高速バスが大半といってもよい状況です。
そうなってくると、わざわざ鉄道を復旧させなくてもBRTの復旧で十分と考える可能性はあり得るでしょう。特に人吉~吉松間は1日3往復しかなく、超が付く閑散線区と言えます。少なくともこの区間の復旧はかなり厳しいと言えるでしょう。