京成電鉄が10月にダイヤ改正を行うことを発表していましたが、この度詳細な内容が判明しました。スカイライナーの大幅な増発や京成本線の日中のダイヤ構成の大幅な変更など、今回のダイヤ改正の変更点について考察を行いました。
スカイライナー大幅増発
今回のダイヤ改正で最大の変更点はスカイライナーが20分間隔で運行される時間帯が大幅に増えることでしょうか。AE系が1編成新造され、運行本数は現在のダイヤより23本多い82本(41往復)となり、これまでの約1.4倍の運行本数になります。
また、今回のダイヤ改正では早朝・深夜帯のスカイライナーの増発も行われます。
早朝下り京成上野発スカイライナー1号(始発列車)の出発時刻を、現行(5:58発) よりも18分早い、5:40発として増発します。また、夜間上り成田空港発スカイライナー60号(最終列車)の出発時刻を、現行(22:30 発)よりも50分遅い、23:20発としたスカイライナー82号を増発します。
この他、スカイライナー増発に伴い、モーニングライナー1本(現成田空港8:40発、土休日は8:35発)とイブニングライナー3本(京成上野18:40,19:20,20:00発)が京成成田発着となります。
本線は成田空港発着の浅草線乗入れ強化
今回のダイヤ改正では日中の運行サイクルが大きく変わることが注目点でしょう。 京成上野~成田空港間で運行される「特急」の一部を「快速特急」に格上げし京成成田発着にすることと、これに伴い京成佐倉発着の「快速」の一部を成田空港まで延長する点です。
今回のダイヤ改正によって都営浅草線から成田空港を利用する人や、これまで特急が通過していたユーカリが丘などから成田空港を利用する人にとっては利便性が向上することになります。
しかし、特急停車駅や京成上野・日暮里から特急を利用して成田空港を利用していた乗客にとっては有効本数は半減し、快速特急を利用する場合には京成佐倉での乗り換えが生じるなどデメリットも目立ちます。ここら辺をもう少し考えてみます。
目的は成田への観光客の分離?
京成サイドの目的としては、京成上野・日暮里から成田空港へ向かう客にはなるべく増発した「スカイライナー」を利用してほしいという点、そして本線の成田空港発着の特急が成田空港利用客と成田への観光客が混じってしまい混雑が激しかったことから今回の日中の快特設定に至ったのでは?と推測します。
最も、成田への観光客の分離だけではなく成田線我孫子支線の上野東京ライン直通強化への対策や本線優等の役割明確化ということも可能性としてはありそうです。本線特急はアクセス特急と比べると早さの面で見劣りしますし、 東京シャトルと比べると微妙に高く、やや微妙な立ち位置にあったのではないか?と考えます。
そうなると、今回のダイヤ改正で快速を成田空港直通にしたことで、 浅草や銀座、日本橋といった重要地点に乗り換えなしで行ける列車の本数を増やし、県内でもこれまで通過駅となっていたユーカリが丘などから成田空港へ向かう需要を取り込む、都内からの速達輸送についてはスカイライナーとアクセス特急に全面的に委ねる、という風に役割をより明確にした、という点は評価できるかもしれません。
成田空港の運用時間延長で深夜時間帯列車を新設
こちらに関しましては、既に「成田空港の発着時間拡大でJR・京成などが深夜列車増発」で取り上げておりますので、そちらをご覧ください。
3100形、ついに運行開始か?
3100形については現在1編成が試運転を行っており、もう1編成も現在甲種輸送中です。ただ、乗り入れ先での試運転を行う必要があることから、ダイヤ改正で運行を開始するかについては現時点では不明です(11月までには運行開始する模様)。
→10月のダイヤ改正で運行を開始することが京成電鉄の公式HPで発表されました。アクセス特急の運用に充当される模様です。
捻出された3050形に関してはカラーリングを変更の上、京成本線系統の旧型車両の置き換えに回る模様。なお、アクセス特急として引き続き運用される3050形に関しては3100形と同様のカラーリングに順次変更されるようです。
3600形は直通運用から離脱か?
現在3600形は編成の短縮が進んでおり、8両編成については2本を残すのみとなっています。3100形の営業運転開始による3050形の本線転用により、都営浅草線乗り入れ及び特急運用充当は年内には見納めとなる模様です。
車両運用はどうなる?
今回のダイヤ改正で注目すべき点としては、都営浅草線5500形によるアクセス特急~エアポート快特の運用が実現するのか?否か?という点でしょう。5300形と異なり、新製当初からスカイアクセス線での運用を想定し120キロ運転にも対応しているため、車両の性能上は可能でしょう。果たしてどうなるでしょうか?
もう一つは京急の1500形の成田空港乗り入れが実現するかどうか?という点です。以前は、京成電鉄の高砂駅~成田空港方面・アクセス特急の運用に入るのは「停車駅予報装置」を搭載する車両に限定され、600形と新1000形の10次車以降に限定されていました。
しかし、無線のSR化に伴い、車上情報管理装置が無かった車両に対しても追設され、1500形や新1000形9次車以前の編成も停車駅予報装置を装備することとなりました。これにより、 1500形や新1000形9次車以前の編成についても成田空港方面やスカイアクセス線への乗り入れが解禁されました。1500形がアクセス特急はまだ実現していませんが、今後成田空港乗り入れが実現するのか注目です。
今後の空港輸送
今回のスカイライナーの大幅増発は、成田空港の利用客が今後東京五輪・パラリンピックに向けて増えることを見こしたものだろうと考えます。しかし、その一方で、成田空港~空港第2ビルが単線なこともあり、ダイヤ改正以降は40分サイクルでスカイライナー2本と西馬込快速・アクセス特急・本線特急が1本づつの5本となってしまうため、これ以上の増発は不可能でしょう。
となると今後注目されるのは初代成田空港駅の東成田駅でしょうか。東成田駅から第2ターミナルへは徒歩10分程度で行くことができるため、十分補完できるのではないでしょうか。
東成田駅には旧特急ホームが留置線としてありますので、ここを整備して折り返し用とすれば、十分に活用することは可能ではないかと考えます。
いざとなったら今回新設される快速特急や京成佐倉発着の都営線直通快速を東成田発着にして成田空港輸送を補完する、というのも可能性としてはありうるでしょう。
その他
北総鉄道は上り都心方面直通最終列車の新鎌ヶ谷発時刻を23:24発から23:33発 に変更し京成高砂まで時刻を繰り下げることにより、新鎌ヶ谷から京成高砂駅間の 各駅から都心方面への利便性向上を図ります。また、アクセス特急の運転時刻変更に伴い、アクセス特急と新鎌ヶ谷駅で接続する新鎌ヶ谷発印西牧の原行普通列車(新鎌ヶ谷19:28→印西牧の原19:44)を増発します。
まとめ
今回のダイヤ改正ではスカイライナーの大幅増発と本線系統のテコ入れが大きな注目となりそうですが、車両面でもまた珍しい運用が発生しそうなので、鉄道ファンにとっては待ちきれないダイヤ改正となりそうです。乗り入れ先の京急線ではまだ詳細なダイヤ改正の内容が発表されていないので、そちらの内容も注目でしょうね。