651系は常磐線特急の運用から撤退後、基本編成は高崎線系統の特急「スワローあかぎ」・「草津」などとして、4両の付属編成はなんと常磐線の一部普通列車と伊豆方面の観光列車「伊豆クレイル」として活躍を続けていました。
しかし、3月ダイヤ改正で常磐線の普通列車運用から撤退、6月末で「伊豆クレイル」も運用を退くことが発表されています。
ということで今回は651系の現状と今後をまとめました。
当初は「スーパーひたち」として華々しく活躍
651系の登場はJR東日本の発足直後の1988年。「ひたち」に使用されていた485系の老朽化に伴う置き換え用として誕生し、翌89年春ダイヤ改正から「スーパーひたち」として運行を開始しました。全車が川崎重工業で製造され、最終的に基本編成(7両)と付属編成(4両)がそれぞれ9本づつ製造されています。
ブレーキシステムの増強により、在来線特急列車としては初めて最高速度130 km/hでの営業運転を実現しました。間接照明や各座席への読書灯の採用、前面のLED式列車名表示装置の装備など外装・内装共に従来の特急型車両から大幅なモデルチェンジが行われています。
登場当初から 「スーパーひたち」 の運用のみに充当されてきましたが、2002年12月のダイヤ改正で勝田駅始発・終着の「スーパーひたち」が「フレッシュひたち」に変更されたことで、「フレッシュひたち」の運用にも充当されました。普通車のドアが各車両2か所で乗降がスムーズに行えるためか、その後朝晩に「フレッシュひたち」の運用も増加しました。
E657系投入、東日本大震災で一転
しかし、2010年12月に常磐線特急車両として新たにE657系を2012年春から投入することが発表され、今後の去就が怪しくなってきます。
さらに東日本大震災が発生し、常磐線も大きな被害を被ります。原発事故の影響もあり、常磐線の不通は長期化。「スーパーひたち」として折り返し列車に運用されるはずだった付属編成1本が原ノ町駅に長期間取り残される形となりました。その後、当該編成(K202編成)は2016年の3/17~19にかけて現地にて撤去作業が行われました。
その後、2012年~13年にかけてE657系が投入され、651系は順次運用を離脱していきます。また、2013年9月11日付けでK203編成が651系としては初の廃車となっています。
高崎線系統の特急へ転用
185系の老朽化が進行していたことから、651系のうち基本編成7本と付属編成3本を電動車の直流化改造や交流機器の一部撤去、シングルアームパンタグラフへの交換、側面への橙色の細帯追加などが行われました。
2014年春のダイヤ改正で運行を開始しましたが、「スワローあかぎ」の人気があまり芳しくなかったのか付属編成の定期運用は翌年のダイヤ改正でなくなってしまいます。一本が後述する「伊豆クレイル」へ再改造されますが、残りの2本は2017年7~9月にかけて廃車となっています。
常磐残存車は廃車が進む…
先の高崎線転用車を除いた車両はその後も常磐線などの波動用として残存する車両もありました。
また、常磐線の車両不足の影響なのか、いわき~富岡間で651系が2往復のみですが普通列車に充当されています。ダイヤは以下の通りです。
出発駅 | 出発時刻 | 到着駅 | 到着時刻 |
---|---|---|---|
いわき | 10:27 | 富岡 | 11:09 |
富岡 | 11:28 | いわき | 12:10 |
いわき | 16:13 | 富岡 | 16:54 |
富岡 | 17:04 | いわき | 17:46 |
なお、普通列車の運用に関しては春のダイヤ改正でなくなりますので、乗車や記録はお早めに。
やはり長年の「スーパーひたち」運用で老朽化が進んでいたせいか、「いなほ」運用で余剰となっていたE653系が国鉄色に塗り替えられたうえで転用されたことにより廃車が進んでいます。これにより勝田に残存していた基本編成は2本とも廃車となり、原型の基本編成は消滅しています。付属編成についても現在はK201・K205編成の2本が残るのみとなっており、春のダイヤ改正で運用を外れた後に廃車となる模様です。
「伊豆クレイル」も6月末で引退…
「伊豆クレイル」は余剰となっていた付属編成1本を改造する形で2016年の7/16に運行を開始しました。小田原駅 – 伊豆急下田駅間で土休日に運用(1日1往復)、全車両グリーン車指定席の快速列車で運用されています。
車内は大幅に改装されており、1号車は海側は窓側に向いたカウンター席、山側は1人掛けボックスシートとなっています。2号車はバーカウンターとラウンジが設けられたフリースペース、3号車は4人用コンパートメント5区画および車いす対応の2人用コンパートメント、4号車は回転式リクライニングシートと固定式ボックスシートが備えられています。
1・3号車は食事・ドリンクをセットにした旅行商品として販売、4号車のみ一般客向けとして乗車券・グリーン券のみで乗車できるようになっています。ラウンジカーには専任のオーナーシェフが乗務しオリジナルフードを提供するとともに、専任アテンダントも乗務し接客業務を担当する形となっています。
グリーン車指定席のため、定期券、青春18きっぷ、北海道&東日本パスでの利用は不可となっています。
新型観光特急「サフィール踊り子」のデビューや車両自体の老朽化に伴い、6月末にラストランを行うことになりました。これに先立ち、4/4に「伊豆クレイル」を相模線から伊豆へ初めて運行します。出発駅の橋本駅ではオープニングを記念して出発式を、到着駅の伊豆急下田駅ではお出迎えセレモニーを行います。 車内では相模線沿線の特産品をお楽しみいただくなど特別なおもてなしをします。
2月下旬以降にびゅうトラベルサービスで販売します。なお、4号車も旅行商品として販売します。ダイヤは以下の通りです。
下り:橋本10:36→海老名11:12→伊豆急下田14:11上り:伊豆急下田15:23→小田原17:29
また、6/28に静岡DCアフターキャンペーンのクロージング列車としてラストランを行います。一般きっぷでの発売はありません。2名以上での申込のみ可となっており、1名での申込は不可となっています。
5月下旬以降にびゅうトラベルサービスで販売します。なお、4号車も旅行商品(食事なし)として販売します。ダイヤは以下の通りです。
- 下り:小田原11:40→伊豆急下田14:11
- 上り:伊豆急下田15:31→小田原17:29