JR函館本線のうち北海道新幹線の並行在来線となる長万部~小樽間ですが、この度残る余市~小樽間のバス転換が決定し、これにより長万部~小樽間全線のバス転換が決定しました。
小樽~余市間もバス転換に…
JR函館線のうちいわゆる「山線」と呼ばれる長万部~小樽間ですが、北海道新幹線の札幌延伸に伴い並行在来線としてどのようにするのか議論が進められてきました。
長万部~余市間は早々にバス転換が決定しましたが、残る余市~小樽間に関しては需要がそれなりにあるため鉄路として存続できないか余市町が抵抗し議論が続けられてきました。しかし、存続コストが過大であることなどを理由に結局この区間もバス転換が決定。結局長万部~小樽間の全線がバス転換されることとなりました。
ただ、並行在来線化によるバス転換というより、需要減少により鉄路での存続が不可能になった…というほうが自然な気もします。長万部~小樽間の輸送密度は2020年度の時点で349人/日。近年のJR北海道では廃線が相次いでおり、この区間もその一つ…という見方もできそうです。北海道新幹線が仮に建設されていなくてもそう遠くない時期にバス転換が行われる可能性が高かったでしょう。
路線 | 区間 | 状況 | 備考 |
石勝線 | 新夕張~夕張 | 2019年4月に廃止 | |
日高本線 | 鵡川~様似 | 2021年4月に廃止 | 2015年1月の高波被害でバス代行輸送となっていた |
札沼線 | 北海道医療大学 ~新十津川 | 2020年5月に廃止 | 新型コロナウイルスの影響で4/17に列車の運行を終了 |
留萌本線 | 深川~留萌 | 運行中 | 沿線自治体とバス転換に向けて協議中 |
根室本線 | 富良野~新得 | 運行中(東鹿越~新得間は代行バス) | 沿線自治体が廃止・バス転換を容認 |
バス転換後も茨の道…?
ただ、バス転換が決定しましたが、それもいつまで運行されるのか?という疑念どうしても拭えません。
例えば2018年に廃線となった三江線ですが、バス転換後も利用は低迷しているようでバス路線のうち一部が廃止されたりデマンドタクシーなどへの再編が行われています。
2020年に最終運行日が繰り上げられ大きな話題となった札沼線の廃止ですが、代替バスは苦戦を強いられており、末端の浦臼~新十津川が路線バスとしての運行を取りやめ地域のバス会社がワゴン車などでの運行とする模様です。
バス転換された後も無事に路線が維持されるケースはあまり多くない…ということで一体どのような運行体系にするのか注目でしょう。
ネット上の反応は?
余市〜小樽は輸送需要は今でも通学客のみならず、札幌などへの通勤客もそれなりにある、鉄道としても維持が可能な規模があった。ただこの区間は、小樽から西へは非電化区間となり、小樽で系統分離することになるのは必然である。
余市から先は廃線する事が妥当とされると、小樽〜余市間のみ、非電化で維持することになりうるが、蓄電池式車両にしてもそれを造り維持する費用が特別にかかる…。貨物列車は廃線すれば当然に走らない。そうなると、「事実上道路維持費用をほとんど払わなくてよい」バス転換する事に妥当性を見出すことになる。
バス転換で、鉄道から離れたところにある小樽の高校を経由する通学便を設定すれば通学客への利便性向上となるし、余市をバスの拠点として札幌市内各所に直行する便などを設定すれば今より利便性が上がることもあると思う。レールに縛られない交通体系は未来志向だと思う。前向きな転換だと評価したい。
引用:JR函館線並行在来線「小樽-長万部間」廃線へ 沿線9自治体バス転換受け入れ決定 北海道新幹線札幌延伸
都市部では入居者が埋まるのかと心配になるような高層のマンションやオフィスビルがこれでもかといわんばかりに増え続け、一方で地方は少子化も相まって過疎化がますます進んでいく。地方の衰退は国力の低下にもつながる問題だが、政治は手をこまぬいてそれを放置しているようにしか見えない。
ITやインターネット、流通の発達は人口の地方分散にも生かせるはずなのに、政治家が有効な策を考えようともしないのは怠慢以外の何物でもない。EV化を進めるなら鉄道利用の推進も同じ目的に叶うはずなのに、その活用をなぜもっと真剣に検討しようとしないのか。多大なコストと年月をかけて整備したインフラである鉄道が次々に失われていくことは国家にとっての大きな損失だ。
今の政治家は目先の事象に右往左往するばかりで、長期的ビジョンとマクロ的視点をもって国づくりを考えられる人材が誰一人見当たらないのは本当に嘆かわしいことだと思う。
引用:JR函館線並行在来線「小樽-長万部間」廃線へ 沿線9自治体バス転換受け入れ決定 北海道新幹線札幌延伸
2000年有珠山噴火の時は、不通になった室蘭本線の代わりに山線が機能したことで旅客貨物とも線路容量で多少の不便はあったものの、何とか乗り切った。有珠山は20年から30年に1度かならず噴く山だから、廃線以降この点だけは気がかりだ。輸送コストと輸送速度、1度の積載量の点でバランスがよいのが鉄道貨物輸送だからだ。
ただ、そうは言っても鉄道会社が民間企業である限り、鉄道輸送事業が慈善事業であるはずはなく、一定の収益が見込めなければ、事業存続は困難である。やむを得ないの一言で片付けることはしたくないが、口を出すが金は出さないというのは認められぬ話である以上、受け入れねばならぬ現実は、厳然たる事実として眼前に転がっている。
ここ数年は、毎年のように北海道の鉄路を取り巻く話といえば、線路が消え行くものばかりだ。日高本線の鵡川以東廃止、根室本線、そして山線。鉄路は国策であることを再認識させられる春だ。
引用:JR函館線並行在来線「小樽-長万部間」廃線へ 沿線9自治体バス転換受け入れ決定 北海道新幹線札幌延伸
函館⇔札幌間の特急を東室蘭周りだけにした時点で、ここの区間は役目を既に終えているようなものですからね。
地域住民は基本的に車移動でこの区間の鉄道路線を必要としていない。通学定期の学生と、フリーきっぷのマニア層と、ジャパンレールパスででニセコ・倶知安周辺を訪れる外国人観光客ぐらいしか乗っていなかった。残念ながらいずれも儲けにならないし、外国人観光客は新幹線に移行してますます需要が無くなるから廃止が順当。
先日廃止が決定したも富良野から新得までの区間も同じですが、本来は別ルートができて都市間交通としての役目が無くなった時点で廃止すべきだったのですが、当時決断できず今まで残っていただけのことです。
引用:JR函館線 長万部~小樽 全国2例目並行在来線廃止へ~北海道
世界的には環境負荷の少ない鉄道が見直されていて地方でも鉄道利用者は伸びているが、日本はその逆だ。欧州では鉄道整備や利便性の向上を国や自治体の政策として重点的に実行している。日本では採算性にのみ注目している。それは日本独自の発想。
鉄道は採算性で評価するのではなく、社会に対してどのような効果をもたらしているかによって評価されるのが「世界標準の考え方」だ。特に小樽~余市は輸送密度も一日2000人なので黒字の富山ライトレールやひたちなか海浜鉄道と同程度で当然鉄道でも相応しい区間だが、採算性しか考えず、国も見捨てて「世界標準の考え方」が出来ない日本だから悲しくなる。
引用:JR函館線 長万部~小樽 全国2例目並行在来線廃止へ~北海道
函館本線山線区間が特急がバンバン走る大動脈から外れた時点で、速達性が求められる都市間輸送からローカル輸送に視点を変えるべきだった。都市間輸送なら小樽や余市、倶知安といった拠点にターミナル駅があればよいが、幹線なので駅間距離が長くなる欠点がある。
ローカル輸送となった時点でこの長い駅間は不向きとなり、トンチンカンな場所に駅がある印象を受ける。余市蘭島間、オタモイ地区や長橋地区など人口が多い地区に無人駅でも良いので駅を作っていればどれだけの隠れた需要が引き出せたかと考えると残念でならない。おそらく、少なくとも余市~小樽間の廃止議論すら起こらなかったのではないだろうか。
国鉄末期~JRに変わる頃に銭函~札幌間や学園都市線で大量に駅を設置した結果、利用客が飛躍的に伸びた実績がある。もちろん人口が増えたのも大きいが、山手線並みに隣駅との距離が近くなり、利便性が増したのは間違いない。
引用:【図解】小樽-長万部間、廃線へ=並行在来線、バス転換合意―北海道
この問題を通して人口減少社会の厳しい未来が見えた。抜本的な少子化対策をしない限りね。
令和かその次の元号になるかわからないけどいつか市町村の大合併して、出来るだけ1ヵ所に引っ越してもらって集約し、不要な道路や水道菅などのインフラを断捨離しないと何れ地方の行政は立ち行かなくなる。
将来の事をしっかり議論せず、抜本的な少子化対策をする訳でもなく、こういう政府の宙ぶらりん政策が残される若い世代にとっては1番迷惑。
引用:長万部―小樽間の在来線廃止へ…北海道新幹線延伸でバスの運行に