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 JR東海が元日に在来線普通列車向けの新型車両315系の開発をスタートし、今後老朽化の進む211系などの置き換えを行うと発表しましたが、今回詳細が判明しましたので、両数と投入本数などから置き換えをどのようにするのか考えてみました。

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315系の詳細

 JR東海から発表された315系の特長は以下の通りです。

(1)安全性・安定性のさらなる向上

・当社の在来線車両で初めて非常走行用蓄電装置を搭載することで、停電時などに最寄り駅まで走行可能となります。

・車内防犯カメラを1両につき5箇所設置し、セキュリティを向上させます。

・主要機器(ATS-PT、モーターを駆動する電力変換装置)の2重系化等を実施し、信頼性を向上させます。

・車両と地上との間のデータ通信装置を導入してメンテナンスに活用するほか、台車等の振動状態を常時監視する振動検知装置を導入し、異常の発生の抑制や迅速な検知を実現します。

(2)快適性・利便性の向上

・試験走行中である次期特急車両HC85系と同じ台車構造を採用し、乗り心地を向上させます。

・階段位置等の駅設備や運行情報等を車内のフルカラー液晶ディスプレイに表示し、お客様へのご案内を充実させます。

・全車両に車椅子スペース、全編成に車椅子対応トイレを設置するなど、バリアフリー設備を充実させます。

(3)環境負荷の低減

・モーターを駆動する電力変換装置にSiC素子を導入するなどの省エネルギー化を 図り、消費電力量を約35%低減(211系比)します。

・室内灯及び前照灯にLEDを採用します。

引用: 【社長会見】在来線通勤型電車の新製について

 筆者も元日に315系に採用される新技術を予想していましたので答え合わせをしてみたいと思います。

  • JR東日本のE235系などで採用されているフルSiC-VVVF の採用→〇
  • JR西日本の225系などで採用されているLCD車内旅客案内装置の設置→〇
  • 多言語対応として自動放送装置の搭載→?
  • N700系で採用されている走行中の営業列車で軌道の状態を計測する「軌道状態監視システム」の導入→△、「 台車等の振動状態を常時監視する振動検知装置を導入 」とのことで軌道の状態を監視するものではないとのこと…
  • N700S系の営業車のうち一部の編成で導入される 電気関係の設備の状態を走行中の営業列車で計測する「トロリ線状態監視システム」 の導入→×
  • E235系などで採用されたINTEROSの搭載?→?、「 車両と地上との間のデータ通信装置を導入してメンテナンスに活用する 」とのことですので、今後はモニタリング保全体系を採用すると考えられる
  • 行先表示器はフルカラーLEDを採用し、行き先とともに次の停車駅を表示→?
  • N700S系で採用された停電時に近隣の駅へ自走可能な蓄電池の搭載→〇
  • 大型の車いす対応・オストメイト付多機能トイレの設置→〇
  • フリーWifiの設置→×
  • クロスシートの採用→×

 この他、主要機器の二重化はE233系やE235系で行われていたので現代の流れを汲んだものと思われますが、最高速度が130km/hとなるということでこれも意外な印象でした。

車両配置はどうなる?

 315系は8両編成23本、4両編成42本を2021年度から2025年度にかけて製造予定となっています。

 置き換え対象は以下の通りです。

  • 211系
    • 静岡…3両×31本、2両×9本
    • 神領…4両×22本、3両×17本(このうち4両×2本は0番台、クロスシート編成)
  • 311系…全車両大垣に配置、4両×15本
  • 213系…全車両大垣に配置、2両×14本

 全車オールロングシート編成ですから東海道線の快速系統への投入は考え辛く、そうなると8両編成は神領への配置しかないのではないかと思われます。

313系
引用:313系

 しかし、神領の211系は4両×22本と3両×17本の計139両。となると、恐らく211系の置き換えだけではなく313系も大垣や静岡への転属がありうるのでしょうか。

 転属の候補としては4両編成と3両編成でしょうから以下の通りとなります。

  • 313系1000・1100番台…4両×5本
  • 313系1500・1600番台…3両×7本
  • 313系1700番台…3両×3本

 313系1700番台は飯田線の運用があるから固定運用だと思われますが、これを機に神領から大垣へ運用を持ち替え、飯田線の運用は大垣所属の車両で統一する可能性もありそうです。これで合計189両ですから、ほぼ同じになりますね。

 そうなると4両編成は静岡と大垣への配置ということになりますね。

313系
引用:313系

 313系1500・1600番台は恐らく静岡への転属になると思われます。これを考慮すると静岡に23~25本、大垣に17本~19本という振り分けになると思われます。213系の置き換えは313系初期車の2両編成の改造で対応するのでしょう。

313系8000番台の転用もありか?

313系8000番台
引用:313系

 313系1000・1100番台を大垣に転属する代わりに313系8000番台を静岡に転属させる可能性もあり得ます。ライナー列車は383系に担当させれば問題なく置き換えができますし、朝ラッシュ時の運用に313系8000番台が入ると混雑が激しくなってしまい対応しきれていない状況です。

 この場合は313系8000番台も含めた3両×13本が静岡に転属するので、これを考慮すると315系4両編成は静岡に19本、大垣に23本という振り分けになると思われます。

 313系8000番台の静岡転属後の運用は恐らく普通列車の運用に入りつつラッシュ時はホームライナーとしての運用になるものと思われます。また、ホームライナー・特急列車・観光列車と汎用性が高いゆえに多忙な373系の負担軽減という役割もあると思われ、「さわやかウォーキング号」の運用などへの充当もありそうですね。

 なお、373系については以下の動画をみるとわかりやすいと思います。

観光列車にも使えてしまう最強汎用型特急電車、373系【迷列車で行こう ほぼ日編第291日】

315系の運用はどうなる

 315系の運用は東海道本線と中央本線をメインに関西本線にもラッシュ時には入線することになるのでしょう。ただ、関西本線に8両編成は入れませんので、こちらは4両編成が入線することになるのでしょうね。

 わからないのが大垣所属の編成の運用がどうなるのか。ラッシュ時には新快速・快速の運用にも入るのか、それとも基本的には各駅停車のみの運用となるのか。ここはふたを開けてみないとどうなるかわかりませんね…

 そして、315系の最高速度は130km/h・起動加速度は2.6km/h/s以上ということで、東海道線もそれに対応したダイヤになるものと思われ、近年まれにみる白紙ダイヤ改正になるでしょう