500系新幹線、N700A系短編成化で順次引退へ…

　新幹線「のぞみ」として初めて定期列車で300km/h運転を実現し、「こだま」転用後も鉄道ファンだけではなく多くの人々から人気となっている500系。登場から今年で28年目を迎えますが、遂にN700A系の短編成化に伴い4編成が2026年度までに引退することとなりました。果たして今後どうなるのでしょうか？

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輝かしく登場した500系新幹線の軌跡

　1997年に「のぞみ」として山陽新幹線でデビューした500系は、その流線形のデザインと時速300kmを実現した高速性能で新幹線のイメージを一新しました。当時としては最先端の技術が投入され、高速運行が可能な強力な加速力と、優れたエネルギー効率を誇りました。同年11月には「のぞみ」として東海道新幹線の東京駅まで運転を開始、当時としては最速となる東京～博多間を4時間49分での運行となっていました。

　独特の先頭車両の形状が特徴となっており、この「くちばし」のようなデザインはトンネルを通過する際の音圧を低減させる効果がありました。また、軽量化された車体や空力学に基づいた設計により、消費電力を抑えながら高速運転を実現していました。

　ただし、500系は製造に1編成46億円とかなり高価だったこともあり、結局JR西日本受け持ち分の東京～博多間「のぞみ」の半分を担える9編成しか製造されず、その後はコストダウンした700系の量産に移行します。高速化に対応できず老朽化が進んだ0系・100系の置き換えが完了し、東海道新幹線は2003年秋のダイヤ改正で品川駅開業に合わせて「のぞみ」を大幅に増発し新しい時代に突入します。

　その後も「のぞみ」での運行が続きましたが、後継となるN700系が登場すると300系や700系と座席定員数が違い代走の際に問題が生じやすかった500系の運用は縮小。併せて8両編成へ短編成化され0系・100系を置き換え、2008年12月のダイヤ改正から山陽新幹線内の「こだま」及び博多南線での運行を開始しました。「のぞみ」での運用は2010年春をもって終了、以降は山陽新幹線内のみの運行となっています。

　量産先行車のW1編成は「こだま」転用はされず、W2～W9編成の8編成が編成名をV2～V9に改め「こだま」へ転用されました。当初はグリーン車格下げの6号車のみが指定席となっていましたが、のちに4・5号車も2列+2列の指定席となっています。また、パンタグラフの変更や機器構成の関係から最高速度は285km/hになりました。

　2009年には家族連れを想定したのか子供向けの疑似運転台を設置。時代の流れに合わせてトイレの洋式化やWi-Fiの設置なども行われています。また、一部編成に関しては制御装置のIGBT-VVVF化や行先表示器のフルカラーLED化も行われています。

　なお、V2編成は大胆なラッピングや内装の変更がなされ、2015年～2018年はエヴァ新幹線として、現在はハローキティ新幹線として運用されています。また、新型コロナウイルスの影響で運用本数が削減されたこともあり、V5・V6の両編成は2022年3月をもって廃車となっています。

N700A編成が8両に短編成化、500系は順次引退へ

　しかし、時の流れは残酷なもので、N700S系の追加導入に伴いJR西日本が保有するN700A編成のうち4本を8両に短縮し、2026年度までに500系を置き換えることになりました。残り2本については2027年度以降も運用を続ける方針ですが、完全引退まではそう遠くないでしょう。

　今回の改造はJR西日本が保有する車両改造技術・ノウハウの若手社員への継承や技術レベル向上も兼ねているとのことです。現在の16両から1～3号車・8～11号車・16号車で新しく8両編成を組成し、現在のグリーン車については絨毯を撤去し4列の指定席車両として活用する模様で、これからも「こだま」の指定席でゆったりとした旅が楽しめそうですね。

　なお、700系「レールスター」編成の置き換えに関しては現在のところ未定です。こちらも、登場から間もなく25年が経過するため動向が注目されます。

500系運用列車の時刻表

　500系「こだま」の運行時刻は上の通りです。終着駅以外はすべて発時刻の掲載です。なお、★の列車はハローキティ新幹線での運行です。700系・N700系で代走となる場合があります。