JR東海が元日から衝撃的な発表を行いました。何と在来線普通列車向けの新型車両315系の開発をスタート、今後老朽化の進む211系などの置き換えを行うとのことです。
315系はどのようなものになるのか?
現在、JR東海の在来線普通列車として運用されている電車の中で最新のものは313系です。
特に、その中でも比較的最近製造された5000番台の車両は東海道線の看板列車である新快速・特別快速で運用されており、青春18きっぷの利用者であれば一度はお世話になったはずです。
しかし、313系が製造開始されたのはなんと1999年。15年以上も様々な変更を繰り返しつつ同形式を造り続けたわけで、今回は大規模な変更が行われる、313系が最後に製造されてから5年以上が経過していることもあり、その間に開発された新技術を採用することから今回新形式を起こすに至ったものと思われます。
また、車内に関しては恐らく転換クロスシートが設置されるものと思われます。
採用されると思われる新技術は以下の通り。なお、筆者の予測であり、実際に採用されるとは限らないのでその点ご了承ください。車両の製造に関してはJR東海の子会社となっている日本車輌製造がメインで担当するものと思われます。
- JR東日本のE235系などで採用されているフルSiC-VVVF の採用
- JR西日本の225系などで採用されているLCD車内旅客案内装置の設置
- 多言語対応として自動放送装置の搭載
- N700系で採用されている走行中の営業列車で軌道の状態を計測する「軌道状態監視システム」の導入
- N700S系の営業車のうち一部の編成で導入される 電気関係の設備の状態を走行中の営業列車で計測する「トロリ線状態監視システム」 の導入
- E235系などで採用されたINTEROSの搭載?
- 行先表示器はフルカラーLEDを採用し、行き先とともに次の停車駅を表示
- N700S系で採用された停電時に近隣の駅へ自走可能な蓄電池の搭載
- 大型の車いす対応・オストメイト付多機能トイレの設置
- フリーWifiの設置
投入線区は?
現在のところ投入される可能性が高い線区は
- 東海道線(浜松~米原)
- 中央線(名古屋~中津川・南木曾)
でしょう。おそらくこれ以外の線区の車両は既存の車両の転用で置き換えを行う可能性が高いです。
211系は廃車の見込み
現在211系は静岡地区と中央線や関西本線(朝夕ラッシュ時)で運用されています。オールロングシートなこともあり収容力があることから各線区で主力車両として重用されてきました。
しかし、この車両の大きな欠点として、3両・2両編成の車内にトイレが設置されていないという大きな問題があります。そのため、現在ではできる限りトイレが設置されている他の車両と組ませ211系単独の運用は避けられていますが、それでも熱海~浜松のロングラン運用に211系の単独運用が設定されています。
さすがに製造から30年以上経過している車両もあり、老朽化が進んでいることから置き換えられ後は基本的に廃車になるものと思われます。
ただし、2両編成は1M1T編成なこともあり、地方の鉄道への転用の可能性はそれなりにありそうですね…
311系は廃車か?それとも…
311系は1989~1990年にかけて東海道線の新快速・特別快速を中心に投入されていました。後輩にあたる313系が登場すると普通列車の運用にほぼ限定された形となり、ごく一部の新快速・特別快速に充当される形となっています。
現在は豊橋~大垣間の普通列車を中心に静岡地区で豊橋~浜松・掛川間の区間列車や武豊線の区間快速、大垣~米原間の普通列車、中央線の普通列車(名古屋~多治見)など幅広く運用されています。「ムーンライトながら」の接続列車も311系に置き換えられたことから、お世話になった青春18きっぷの利用者も多いのではないでしょうか。
ただ、登場から30年が経過したことでさすがに老朽化していることは否めず、東海道線の新快速・特別快速の運用もほぼなくなってしまい実力を発揮しきれていないことも事実。4両編成15本と小所帯なこともあり、置き換えが始まればあっという間でしょう。
あえて考えるとすれば「ムーンライトながら」の後継車両として311系を充当するというものですが、列車名なしの救済臨としてならありかもしれませんね。ただ、救済臨時代の向かい合わせのボックスシートより快適な転換クロスシートがあるもののデッキなし。冬場は辛いでしょうね…
213系は最後まで生き残るか?
213系は1989年に登場し、2両編成14本が製造されました。
当初は関西本線の普通・快速列車や一部の東海道線の普通列車に充当されていましたが、2ドア転換クロスシートという構造が災いし、1999年に313系が登場すると、以後は朝と夕方以降の関西本線の列車と日中の中央本線のごく一部の普通・快速列車に充当されるのみとなり2011年には関西本線の運用からは撤退しています。
現在はトイレの設置工事と半自動ドアの設置を受け、飯田線で313系とともに運用されています。2ドアというのも閑散線区である飯田線では特に問題にはなっておらず、転換クロスシートが設置されていることが好評を得ています。
登場から30年が経過しましたが、313系が登場した後飯田線に転属するまで日中時間帯は車庫でお留守番をする運用が多かったことから年数の割にはそこまで老朽化は進んでいません。そうなると、恐らく置き換えは最後の方になり、2両編成で小回りが利くことから他社への譲渡や観光列車への改造というのも視野に入ってくるものと思われます。